フクオカテンジン大学

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レポート日記

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大切な想いを一枚のアートに込めて

開催日:2011年01月22日

コラボレーション授業

【今回の先生】 SAKURA (アートデザイナー)

 

【今回の教室】 赤煉瓦文化館

 

 

【特別授業】 九州大学社会連携事業による授業

この授業は、九州大学が「より良い社会の実現」に向けて、学内の様々な全英知、設備、研究組織と、地域・行政・社会貢献団体などと連携する取組です。今年度は、教育学部を主体として福岡テンジン大学と連携し、授業の企画を行ってまいります。

九州大学 社会連携推進室 : http://www.kyushu-u.ac.jp/university/coopration/policy.php

 

 

会話や手紙でストレートに表現するのが照れくさい、そんな想いでも、アートを交えて短い言葉にすれば、さりげなく相手に届けることもできる。人やものへの感謝、愛、友情など,アートに込める想いは自分次第。アートの力を借りてその想いを形にする、というのが今回の授業でした。

 

 

そもそもこの授業は,九州大学の社会連携授業の一環として学生のアイデアから生まれた企画です。

 

 

田北雅裕先生が九州大学で開講する「まちづくり基礎論」という講義で、テンジン大学でやりたい講義、というテーマのもと複数班に分かれてプレゼンテーションを行ないました。

 

 

その中で私たちは「大切な人への想いを絵本にのせて」という講義をプレゼンし、福岡テンジン大学学長の岩永さんをはじめ多くの支持を得ることができ、実際に福岡テンジン大学で開講していただけるようになりました。

 

 

話し合いを進める中で私たちがこの授業で大切にしたかったことは、「絵が得意でない人でも楽しめる」ということ。そのためには複数の絵と言葉が必要な絵本を書くよりも、心をこめて1枚のアートを書いた方がいいのではないか、ということになり「大切な想いを一枚のアートに込めて」という形が出来上がりました。

 

 

今回その企画に携わった学生もスタッフとしてこの授業に参加させていただきました。

 

 

そして今回の授業の講師は,アートデザイナーとして活躍されているSAKURA artのSAKURAさん。SAKURAさんの心温まる作品を拝見して,今回の企画趣旨達成のためにお手伝いいただきたいと思い,講師を依頼しました。

 

 

場所は福岡赤煉瓦文化館。明治時代に建てられた文化財であるこのおしゃれな建物で授業は開かれました。

 

 

 

 

集まった参加者の方々は,世代・性別さまざまでした。また,この授業に来ようと思ったきっかけもさまざまで,最近絵を描かないから久しぶりに書きたいと思ってこられた方,贈り物としての絵を描きたいと思ってこられた方などがいらっしゃいました。

 

 

授業開始。まずはじめは自己紹介。

 

 

みんなで円になって,1人30秒ずつ自己紹介をしていきました。30秒は意外と短く,まだまだいい足りない方も見られました。まだ,緊張は完全にはほぐれきれてない様子・・・

 

 

次に,ワールドカフェ。

「自分の大切な人はどのような存在か?」というテーマのもと,3人1組で話し合いました。15分間話した後,また別の3人組みをつくり,今度は今までのテーマに「なぜその人が大切なのか」をプラスし,3回目は「その人にどんなメッセージを伝えたいか」を話しました。

 

 

 

 

 

 

テーマに沿って話をしたのはもちろんのこと,この時間ではみなさん話が進み,自分の趣味や最近気になっていることなどにも話が広がっていたようでした。どのグループもたいへん盛り上がっており,このワールドカフェで緊張もほぐれた様子でした。

 

 

小休憩をはさみ,絵を描く事前準備としてのワークシートを記入。

 

 

ワークシートの項目は,

①大切な存在はだれですか?

②その人があなたにとって大切な理由はなんですか?

③その人はどんなイメージですか?キーワードを10個以上あげてください。

④大切な人へのあなたからのメッセージはなんですか?

 

 

 

 

ここは個人作業。すらすら書く人もいれば,悩んでなかなかペンが進まない人も。そんな人にはSAKURA先生がアドバイスをしてくださいました。

 

 

 

 

ワークシートを書き上げた人からいよいよアート作成開始!

今回は,やわらかい雰囲気をだせるパステルを画材に用いて絵を描きました。

SAKURA先生のアドバイスをうけながら,各自絵を描きすすめました。

みんな本当に集中して取り組んでいました。

1時間くらいたつとだんだんと絵が完成してきました。

 

 

 

 

皆さんの絵がある程度完成したところで、席を立ってお互いの絵を鑑賞し合いました。どの絵もたいへんすばらしく,込められた想いがじんわりと伝わってくる作品ばかりでした。

 

 

最後にスプレーで絵の表面をコーティングして,完成~!!

各自,満面の笑顔で絵を持ち帰りました。

 

 

 

 

最後にSAKURA先生から,いろいろなすばらしい絵に出会えて,今日は私も本当に楽しかったです,というお言葉を頂きました。授業が終わるころには生徒同士もお互いに仲良くなり、別れるのが惜しいほどでした。みなさん帰り際にはSAKURA先生に今日のお礼を言って帰られていました。この授業を通して、教室内に強い絆ができていたようにおもいます。

 

 

普段なかなか表せない大切な人への想いを1枚のアートに。

絵が得意か苦手かではなく,「伝えたい」という気持ちを込めて描くことが大切だということを実感できる授業となりました。

 

 

 

 

■九州大学 学生・それぞれの感想

・教育学部2年 今山 稔大

 自分にできるだろうか、それが参加前の私の正直な気持ちでした。何かに対して想いを伝えることが苦手で、絵もほとんど描いたことがない、そんな私がこの授業に参加することには少し勇気が必要でした。しかしこの授業は、私も含めそういう人にこそ、今まで気付かなかった価値観に気付いて欲しくて企画した授業でしたし、そして本当に「絵が得意でない人でも楽しめる」ように工夫することができたのか、それを確認する意味も兼ねて参加することにしました。

 授業当日は、1時間くらいかけてのアイスブレーキングのおかげでリラックスして絵を描くことができました。私の場合は描きたい「想い」は頭の中で決まっていても、絵に疎いのでビジョンが浮かばず困っていました。それを講師のSAKURAさんに相談すると、こういう風に描くといい、と大まかな構成をアドバイス頂き、後はそれを参考にして描きすすめました。上手く描かなければならない、と最初は考えていたのですが、心をこめて描くことが大切であることに気付きました。結局私が絵を完成させるまでに一番時間がかかってしまいましたが、自分なりにかなり満足のいく絵を完成させることができました。

この絵は、ちょっと恥ずかしいですが、その想いを伝えたい人に見せよう考えています。

 最後に、この授業を開催するにあたって本当に多くのご協力を頂いた講師のSAKURAさん、福岡テンジン大学学長の岩永さん、福岡テンジン大学スタッフの皆さま、そして田北先生に心から感謝を述べたいと思います。ほんとうにありがとうございました。

 

・教育学部2年 村松 真衣

 今回初めてテンジン大学の授業に参加して、思っていたよりもずっと気軽に参加できるものなんだなと思いました。私はこの授業の企画に最初から携わって、絵本だったものが「一枚のアート」になり、また大切な人へ想いを伝えよう、ものだったのが、実際に参加した人としては、単純に絵が描きたかったり、面白そうだと 思ってきただけだったりしたのを見てきました。でもそれくらい気軽に参加できるところが良いと思います。ワールドカフェでも、絵を描くためだけでなく、普段ではなかなか話せないような人とも気楽に話せたのが良かったです。

 

・教育学部2年 工藤 愛子

まず、自分たちで企画した授業が実現できたことをとても嬉しく感じました。アイスブレイクでは、様々な年代の方たちと「大切な人」について話すことを通して、それぞれの視点からの「大切な人」という存在について知ることが出来ました。また、雑談もできたのでとても楽しいひとときでした。3回グループを変えてアイスブレイクを行ったことで、自分の中で大切な人へどんな思いを伝えたいかということが明確化されました。また、SAKURAさんの、「自分にとって大切な人は“過去の自分”でもある」という言葉に感動しました。実際に、画用紙を目の前にして大切な人への想いをアートしようとしても何を描こうかとても迷っていましたが、SAKURAさんのアドバイスや「何が描けるかではなくて何を伝えたいかが大切」という言葉を聞いて、自分が大切な人へアートを通して何を伝えたいかということに気づかされました。パステルの粉で色をつけていくという描き方は初めてでしたが、制作もとても楽しくて、世界にひとつだけのアートを作ることができました。今回作ったアートを家族に贈りたいと思っています。

 

・21世紀プログラム課程2年 日尾野

 今回テンジン大學の講義を考えるということで、グループでいろんな案を出し合う中で「想いを伝える」ことの大切さを感じ、想いを伝える場所を提供したいと考えるようになりました。 はじめは「絵本」という形で想いを伝えようと考えていましたが、田北先生や、岩永学長、SAKURAさんとの話し合いの中で「一枚の絵」という形になっていきました。 自分たちが想像していたイメージが、どんどん膨らんで少しずつ現実のものへと変化していったのがすごく嬉しかったです。

 参加者が女性ばかりになってしまうかもしれない、とはじめは心配していましたが、講義が始まると、いろんな方が参加して下さっていて安心しました。「なぜその人が大切なのか?」「なぜ感謝の気持ちを伝えたいのか?」具体的なストーリーから、キーワードを導き出して絵にしていく。会話をする中で、自分でも気づいていなかった想いが見えてきてとても不思議な感じがしました。

先生の誘導のもと、完成した作品はいろんな思いがたくさんこもった素敵なものでした。この企画は私たち学生だけでは、実現することが難しかったと思います。いろんな方々の協力のおかげで、私たちの想いを実現することが出来たこと、そして参加者の皆さんが楽しんでくれたことはとても幸せです。この企画に携わることが出来たことを本当に感謝しています。ありがとうございました。

 

・教育学部2年 手島

私がこの授業に関わりたいと思ったのは、「アートの力を借りて想いを伝える」という授業目的がとても好きだったからです。今回、授業の企画と授業本番を通して、アートの持つ力を垣間見ることができたように思いました。

企画段階では、岩永学長や先生をしてくださったSAKURAさん、そして班のメンバーの意識の高さや発想力に感心するばかりでした。人の意見を聴くことで自分の意見が刺激され、グループで何かものを作るときに、話し合いを行なうことの重要さを実感しました。

大切な人のイメージからキーワードを挙げるという作業、この人はこんな雰囲気の人だと考えていき、では色に例えると何色?形は?ものに例えると・・・というふうにして、目に見えなかった「想い」が目に見えるものになっていく過程がとても楽しかったです。絵を描いている間はずっと、大切な人たちのことを考えていました。教室の中も、優しい音楽が聞こえてくるだけ。皆さん集中して自分の想いと向き合っていたのだと思います。

授業の終わりに、ほかの方が描いた絵を見て回りました。皆さんが口々にきれいだ、とか、いいね、とか言い合っていて、初対面の人同士で褒めあったり肯定しあったりする空気ができていたことが嬉しかったです。

さらに描いた方から、「この部分にはこんな想いがあるんだ」とか「この色を使ったのにはこんな理由があるんだ」というお話を聞くと、私たちがこの授業でやりたかった、「想いをアートに込める」ということが実現されていると感じられました。

この授業の企画から実施までを通して得ることのできた気持ちを大事にします。

 

・教育学部2年 井上 佳那子

 今回テンジン大学の授業に携わらせていただき、本当にいろいろなことを学び感じることができました。企画から当日までの過程を振り返りながら、その中で感じたこと・考えたことを自分なりに言葉にしていきたいと思います。

授業の中で企画案を考えている段階では、みんなで意見を出し合いながらどんなことをしたいか、なぜこれをテンジン大学でしたいのかを話し合いました。みんなの中からたくさんの意見が出て、その中から「ありがとうを絵本で伝える」というテーマに決まりました。授業の流れもみんなで考え、各グループごとのプレゼンも、みんなで協力してできることができました。グループのメンバーみんなが、一生懸命取り組んでいて、みんなが頑張るからわたしも頑張ろうと思えました。

企画を実際にテンジン大学でやらせてもらえると決まってからは、岩永さんを中心に企画をより具体的に、福岡テンジン大学で行うという観点から詰めていきました。私は個人的に忙しくなかなか企画を詰めるのに参加できませんでしたが、他のメンバーのみんなが頑張ってくれて、無事に当日を迎えることができました。

当日は準備は手伝いましたが、授業が始まってからは本当に参加者のように授業を楽しみました。真剣に自分にとっての「大切な人の存在」を考える中で、他の人の意見を聞くからこそ自分の意見もはっきりしてきて、あのワールドカフェは本当によかったなと思います。絵も、SAKURAさんから的確なアドバイスを頂き、自分が今まで書いたことのない新しい雰囲気の絵を完成させることができて、本当によかったです。絵を描いた後も、個人的に数人の方とその絵に込めた思いについて話すことができ、絵からだけでなく言葉からも聞けて、想いがより伝わってきました。この企画が、この授業が、参加してくださった方の1人でも多くの方の心に何かしらの形で残って、きっかけの種になっていったらいいなと思いました。

授業を終えて、本当に貴重な体験をさせていただいたなと、心から思います。この授業に携わる中で、本当にたくさんの出会いがありました。絵との出会い。人との出会い。心との出会い。この出会いとここで感じたことを忘れず、これからの授業に生かしていきたいと思います。そして最後に、この授業計画に携わらせてくださったテンジン大学学長の岩永さん、そして九大の授業を通してわたしたちにこのような素晴らしい体験のきっかけを与えてくださった田北先生に、心からお礼を言いたいです。本当にありがとうございました。

 

(九州大学学生 今山・井上・日尾野・村松・工藤・手島)