フクオカテンジン大学

フクオカテンジン大学

企業・自治体の皆様 学生登録

レポート日記

一覧に戻る

天神のビル屋上で稲づくり ~ペットボトルから踏み出す農への第一歩~

開催日:2015年06月27日

通常授業

 都会化が進むと同時に失われていく自然との共存。

田植えを体験したことのない子供達が増えているという実情。

 

 

そこで、都会のド真ん中でも自然と触れ合う体験をしてもらいたくて始まった第一弾が今回の授業。

あいにくの雨にも関わらず、ペットボトル農業に興味を持った方々が続々とお集りいただきました。

 

 

まずは“カタルタ”といって、色んな接続詞が書かれたカードを使っての、少しユニークな自己紹介から授業スタート。

 いつもとは勝手が違う自己紹介が、また違った自分を発見させてくれたりもして、

なぜ今日ここに来たのかを再確認する良いきっかけとなっていたようです。

 

 

 

  

ペットボトルで田植えってどういうこと?

 

ここにお答えいただけるのは、4年前からこの面白い取り組みを続けていらっしゃる株式会社スペースRデザインの牛島先生です。

 牛島さんは普段古い建物を再生する本業を持つ傍ら、

「たのしイネ」というプロジェクトの中で、農業体験や食育にも関わりながら、

“ビル”と“イネ”を繋ぐ活動をなさっています。

 

 

 

 

ビルの隙間を活用

    ×

都会でもイネを育てたい

    ×

ペットボトルイネを開発

 

 

元々はバケツ稲が発祥で、もっと育てやすい軽くて最小のものを探して行き着いたのがペットボトルだった!

 

ということで、早速屋上に上がって田植えならぬペットボトル植え体験開始

 

  

①それぞれ持ち寄ったペットボトル(2ℓ)を半分切って穴を開け、

中に肥料と土を並々と敷き詰めます。

 

 

 

 

②そこに水をたっぷり入れ、“代掻き(しろかき)”といって土をならすために

しっかりと土を混ぜ合わせ、土台を作ります。

 

 

 

 

③最後に好きな苗を3本植えて、根っこが見えないように更に上から土をかぶせたら完成です。

 

 

 

  

想像以上に簡単でビックリ!

 

今回5種類もの苗をご用意いただき、中でも一番人気だったのは

「ハッピーヒル」という自然農法の提唱者、故福岡正信さんが育てていたとされる品種。

男性には「神力(しんりき)」というカッコいい名前の品種が人気を博してました。

 

 

 

  

これが収穫出来るのは10月頃ということで、皆さん今から収穫が待ち遠しいご様子。

 

しかし、穂が出て花が咲き、

実が付いて穂が甘くなった頃を見計らって、スズメ達がやってきます。

 

3㎝角のネットをもくぐり抜けちゃう彼らから守るためにも、

毎日目をかけてあげることが美味しいお米を作る秘訣だと教えてもらいました。

 

なんと、このお米をお茶碗1杯食べようと思ったら、

少なくともペットボトル3本分が必要で、これは株数で言えば実際の田んぼと変わりません。

私達が普段何気に食べているお米が、

どれ程の手間ひまがかかっているのかということを改めて知り、

農家さんや食べ物に対して感謝の気持ちが湧いて来て、

田んぼを見る目が変わりそうです。

 

 

ビルの屋上で育てるのは、田んぼで採れたものに比べると美味しくはないけれど、

味ではなく“自分で育てた”という所に

違う美味しさを感じるという先生のお言葉が印象的でした。

 

 

 

 

毎年採れたお米をそれぞれ持ち寄って作るご飯やカレーがたまらなく美味しくて、

収穫が終わった後の交流も含めて楽しめるのも、

ペットボトル農業がもたらすもう一つの楽しみ方のようです。

 

  

自分で稲や植物を育てると天気や季節に敏感になり、

日々がくっきりしてくると毎日が充実してくるという素敵な循環は、

人の身も心も豊かにしてくれるんだなと感じられた一日でした。

 

次は脱穀の授業もいいなぁ~。

 

 

 

  

(ボランティアスタッフ 兼山孝子)


 

 

【今回の先生】

 

 牛島 光 株式会社スペースRデザイン(ビンテージビル ディレクター・管理人)

 

 

 

 

1985年熊本市生まれ。古いビルの再生・活用を行う株式会社スペースRデザイン所属。大学卒業後、コミュニティデザインNPO法人ドネルモでの活動を経て、2010年同社に入社。建物再生事業の企画、コミュニティ型管理、仲介、発信を行う。都心部のビル屋上を活用した稲作プロジェクト「たのしイネ」(2010〜)、環境実験住宅を活用したシェアハウス「一宇邨」の居住型管理人(2011〜)、文化複合木造アパート「桜坂山ノ手荘」、同建物内「まちライブラリー桜坂山ノ手荘」の2013〜)のディレクションを行う。

 

梶原 あき 株式会社スペースRデザイン(リノっしょ女子部,もちつき課)

 

 

 

1989年生まれ。福岡県福岡市育ち。幼い頃より、昆虫や植物と触れ合いながら育つ。九州大学大学院人間環境学府修士課程卒業。大学では山村集落のフィールドワークを行う中で、人々の暮らしと畑の関係について興味を抱く。その後、豊かな暮らしの場を産み出す手法を探るべく2014年株式会社スペースRデザイン入社。暮らしの根底にある「住むことを楽しむ」という考えを広めるため会社と社会を繋げるプロモーションの手法を勉強中。

 

 


 

 

【今回の教室】 天神パークビル屋上

 

 

昭和通り沿いにある10階建てオフィスビル。1階にテンジン大学の学食であるエントランスカフェがあり、天神で働く人々が訪れる場となっている。「コレクティブオフィス」というテーマで運営され、様々な設備に加えて、セミナーやもちつき大会など多様なイベントが開催されるビル。その最大の特徴は屋上で、エントランスカフェの利用者やビルの入居者が自由に出入りできるウッドデッキスペースは、空が広がる開放的なスペース。奥では菜園やペットボトルでイネを育てる「たのしイネ」プロジェクトの緑が広がり、まさにパーク(公園)と呼べるビルとなっている。

住所 : 福岡市中央区大名2-8-18