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レポート日記

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僕がここで働く理由 ~博多人形師 田中勇気~

開催日:2017年06月24日

通常授業

福岡の伝統工芸である博多人形。福岡にいれば一度は見たり聞いたりしたことがあると思います。

そんな博多人形を作る若き職人さんである田中勇気さんに今回は先生をしてもらいました。

場所は勇気先生の工房で素敵な博多人形がずらりと並んでいました!!

 

 

 

 

 

授業開始!!

まずは勇気先生のヒストリー紹介!!

黎明期(小学~高校2年生)、創世記(高校3年~修行時代)、躍動期(現在)

と時期を分けてコーディネーターの天尾さんとトーク形式での紹介です。

 

 

 

 

 

@黎明期 ( 小学~高校2年生 )

 

勇気先生は小学校の時から相撲が好きで相撲取りになりたかったそうです。

好きな教科は図工で、現在の仕事につながりそうなかけらのようなものをすでに持たれていたんですね。

 

また、中学生では昔ながらのものが好きで、その昔ながらのものを作る人たちに憧れていました。

そんな時、日本の職人の文化の本を中学校の先生からもらい勇気先生は世界にいろんなものを作っている職人がいることをその先生から教えてもらい職人さんに興味を持つようになります。

 

そして中学生から高校への進路選択では、将来ものづくりの仕事がしたいと思い、当時住んでいた愛知県、豊田市の工業高校へ進学します。ですが授業では手をうごかすことが少なく頭で考えなくてはいけない授業が多くて、それが苦手だった勇気先生はみるみるうちに成績が下がって授業に身も入らなくなっていってしまいました。

 

そんな高校2年のある時、高校を辞めたいと言い出した友達の相談を受け、それをきっかけに「自分は本当は何をしたいんだろう?」と自分と向き合うようになります。

そんな時、中学の時に先生にもらった本を思い出し、休みのたびにその本を頼りにいろんな職人のいる産地に足を運びました。

 

いよいよ就職を意識しなければいけなくなった時、もともと生まれが佐賀ということもあってか福岡の博多人形が目に留まり、タウンページに載っている博多人形の工房へ順に電話をかけていったそうです。

 

その年で電話をかけて行くその行動力は驚きですね!!

 

@創世記 ( 高校3年〜修行時代 )

 

師匠を決めた決め手は、師匠の人形を見た時に「やりたいな、この人から懸命学べばこんな作品が作れるようになるんだ」と感じたことでした。

また、博多人形は工芸と美術品の中間にあるもので、「自分の作りたいものが作れて、自分を表現できる」と感じたそうです。

 

ここで質問コーナー!!

これまでの勇気先生のヒストリー紹介で質問したいと思ったことを勇気先生にぶつけてもらいました。

 

Q. 博多人形の定義って何ですか??

A : 福岡県で採れた土を使った素焼きの彩色人形、工房を福岡に構え、塗料は基本的に自然のものを使用し、基本的に人間の形をしているもの。

 

ただ伝統工芸品に指定された時点でいろんな職人さんがいろんな工夫をしていたので「ただし一部には人工の塗料もあり」と但し書きがあって表現の幅は取られているそうです。

 

高校を卒業して、勇気先生は師匠の工房で修行がスタートします。

修行というのは工房によって違うそうですが、勇気先生の師匠の工房では

お弟子さんは基本的に住み込みで、朝はやく起きて掃除をし、日中は博多人形が出来上がるまでの全ての段階の仕事の手伝いをしながら全ての工程を覚えていき、仕事が終わってから自分の勉強をする毎日を送ります。

 

そんな中、師匠の工房が田舎で外界と離れた所で2~3年間修行した頃に、一度だけやめようと思った時期があったそうです。

 

「自分って全然成長していないのではないか?」

「これ以上やっても意味があるのか?」

「自分は上手くならないのにこんなこと続けていいんだろうか?」と。

 

そこで、経験年数15年以下の職人さんが出展する、与一賞展とういうものに何もひっかからなかったらやめようと思っていたようですが、そこでギリギリ引っかかったことで辞めるのを踏みとどまったのでした。

 

 

@躍動期 ( 独立後〜現在 )

 

独立への流れと今の工房の決め手について…

工房では長年やっている弟子がいなくなると工房でできる仕事の幅が狭くなってしまうらしく、前もって師匠に伝えなければいけません。勇気先生の場合は2年前から準備に入り、博多区の中心地で山笠などが行われる場所を条件に現在の工房に決めました。

 

現在苦労していること…

作品制作や教室、プライベートの時間の使い方やスケジュール管理に苦労しています。

 

博多人形の魅力について…

博多人形はおどろおどろしいものや勇ましいものなど様々な作品が昔から作られていました。また、時代によって変わることのできる工芸品が博多人形であり、そういった現在の博多人形を見て欲しいと思っています。

 

小学校時代から好きだった相撲がひょんなことからある繋がりができたそうです。

ある時、銭湯で出会った男性とのご縁から琴奨菊の博多人形を作り、その後、琴奨菊の結婚披露宴で夫婦に人形を送りました。

どこに、どういう繋がりがあるかわからないエピソードですね!!

 

これからの目標…

今年中に教室の生徒さんを30人から40人に増やしたいそうです。 (笑

また、博多人形師として人形を作り続け、作品展には積極的に参加していきたいです。来年には作品展で主要な賞を目指しています。

 

最後に勇気先生から参加者に向けて一言!!

面白いと感じたことはあまり頓着せずにまずは行動してみる。

努力も必要だけど勇気を持って行動を起こせば、意外と周りが助けてくれる、とのことでした!!

 

 

 

ヒストリー紹介の後は、おはじきの絵付け体験をしました〜

皆さん真剣な表情で黙々と作業をしていましたよ!!

 

 

 

 

参加者の作品ですがみんな上手ですね!!

 

 

 

 

最後にみんなで記念撮影!!

 

 

 

 

今回授業を受けてみて博多人形って聞いたことあるけど伝統工芸品という言葉に「なんか敷居が高いな~」と感じていましたがそれがあまり感じなくなりました。また、勇気先生のヒストリー紹介を聞いて、自分たちが就職するときに仕事を探すのとあまり変わらないな~という印象を受けました。

絵付け体験をしたこともあり、博多人形がより身近に感じれるようなった授業でした!!

 

 

(ボランティアスタッフ 伊藤 優馬)

 


 

【今回のコーディネーター】

田中 千代美 普段はシステムエンジニア

 

佐賀県出身。就職を機に福岡市民となる。土日に参加できるイベントやボランティアなどを探していたところテンジン大学に出会い入学。設立3周年のタイミングでスタッフ体験をキッカケに、スタッフへ。授業に参加するにつれ、福岡の街やまちづくりにも関心が高まり、授業企画コーディネーターにチャレンジ。

 

 

天尾 裕作 元ストロングエンジニア(SE)/カウンセラー

 

福岡市在住。IT業界で20年近くSE経験の後、新規に人事部門の立ち上げに関わり、採用担当として、5年間で約1,000人の応募者と接する。転職後、山口、熊本で、概ね若者を中心とした就労支援の事業に携わり、現在は福岡で、引き続き、「個人の魅力を引き出す」仕事を行っている。「楽しいがいちばん!」と「Never too late」を忘れずに、日々、孤軍奮闘している中高年である。

【今回の先生】

僕がここで働く理由 ~博多人形師 田中勇気~

田中 勇気

1988年生まれ。佐賀県 佐賀市出身、福岡在住。博多人形師 梶原正二氏に師事。幼い頃から物作りが大好きで、祖父母の家にあった人形の優しげな表情に魅せられ、この道を志す。博多人形与一賞展では理事長賞・与一賞・特選を受賞。他にも市展や県展にて多数入選。2016年に独立し、冷泉荘に工房を構えて活躍中。

 

<WEBサイト>

田中勇気 博多人形工房

【今回の教室】

僕がここで働く理由 ~博多人形師 田中勇気~

田中勇気 博多人形工房

冷泉荘は、博多区上川端町で築58年を迎える昭和のレトロビルです。「福岡の古い建物を大切にする考え方の実践(ビルストック活用)」を基本理念に、「ひと」「まち」「文化」を大切に思う人たちが集まる建物「リノベーションミュージアム冷泉荘」A棟4階の博多人形工房です。

 

住所 : 福岡市博多区上川端町9番35号 冷泉荘A-41号室

電話番号 : 080-1600-1042

営業時間 : 10:00~21:00

 

■webサイト

田中勇気博多人形工房 | 冷泉荘 / リノベーションミュージアム冷泉荘