フクオカテンジン大学

フクオカテンジン大学

企業・自治体の皆様 学生登録

レポート日記

一覧に戻る

大名の古民家でお茶をいただく 〜和文化のたのしみ方〜

開催日:2010年10月23日

通常授業

【今回の先生】 香茶ぷろじぇくと

 

【今回の教室】 松楠居(しょうなんきょ)

 

 

 

大名の古民家でお茶をいただく!

いやぁ、何とも言えない組み合わせです。

始まる前から、どんな授業になるのかと気持ちが高まります。

 

 

会場は大名に在る古民家、松楠居。

向かいに在る上久醤油さんの邸宅として建てられたものですが、

今は改修されて、お蕎麦屋さんも入った素敵な空間として再活用されています。

 

 

その空間の素晴らしさと言ったら、思わずうっとりとしてしまう程です。

門をくぐるとすぐに、周りの雰囲気が凛としたものに変わる気がするんです。

入ってすぐに、松楠居の虜になってしまいました。

 

 

会場に入って行く生徒の皆さんの中にも、

思わず声をあげてしまう人がチラホラといらっしゃいました。

この、街の至る所がキャンパスになるテンジン大学だからこそ実現出来た教室で、

いよいよ授業が始まります。

  

 

参加した生徒さんは11名。

先生は用意した二畳分の茶釜を置かれたスペースに、

生徒さん達は先生を囲む様に並べられた座布団に座り、授業が始まりました。

 

 

先ずは茶の湯についての説明から始まります。

歴史も交えた先生の説明と、用意されたレジェメはとても分かり易く、

すんなりと内容が頭に入って来ます。

 

「千利休が二畳という空間をつくりだしました」

と、説明する先生の足下には二畳分のスペース。

聞く話と見るもの、体験する物がどんどんリンクして行きます。

 

 

 

引き締まった雰囲気の空間に座る生徒の皆さんの背筋も自然にピンと伸びます。

 

 

説明の中には、言われてみれば何で?と思っていた疑問の答えもチラホラと。

例えば、表千家、裏千家、武者小路千家の名前のルーツ。

中々パッとは答えられない事ですよね。

 

先生の説明によると、

「表千家、裏千家、武者小路千家の違いは、面していた通りの違いなんです。

表千家は表通りに、裏千家は裏通りに面していました。

武者小路千家は武者小路に面していたんですね」

なんだそう。なるほど!

 

 

 

一通り説明が終わった所で、遅ればせながら生徒の皆さんの自己紹介の時間です。

自己紹介と一緒に、簡単に応募の動機も聞いてみました。

 

「前に姉妹校のお茶の授業を受けたから、テンジン大学でも受けてみたいと思って」

 

「お茶をやってみたかったけど、敷居が高そうだったから、この機会にお茶に触れてみたくて」

 

「和の文化に興味があるから」

 

「日頃の動きにお茶のしとやかな所作を取り入れたくて」

 

「お茶と建物の両方に興味があって」

 

「お茶の教室に通っているけど、こうやって多くの人が触れられる機会を体験したくて」

 

等々、実に様々な思いが皆さんには有る様です。

皆さんが何かを得て帰られる授業になればと願うばかりです。

 

 

これから、本格的にお茶が始まります!

 

先ずは、すず茶人さんと鈴姉さんのお二人に

作法の一通りを解説しながら見せて頂きました。

 

 

『席入りをして→(お菓子とお盆を持って来て→)

お菓子を頂き→お茶を頂き→お茶碗を拝見→最後に片付け』

という流れです。

 

 

生徒の皆さんの視線は熱くお二人の動きに注がれます。

厳格な空間がそうさせたのか、かなり真剣に見つめる雰囲気が漂います。

 

 

そこへ先生が、

「足でも崩して、おしゃべりもしながら、リラックスして見ていてください」

と、素敵な笑みを浮かべながら、一言。

 

 

これで場が一気に和らぎました。

リラックスしながらも興味津々な視線が場を満たします。

 

先生も

「昔は、お茶は3回で飲みなさい、と言われましたけど、何回で飲んでも構いませんから」

などと、時折おしゃべりの様な口調で、分かり易く解説をしてくれます。

 

 

そして、いよいよ生徒さん達の実践です。

 

先ずは皆さんでお茶菓子を頂きます。

 

 

順番にお盆からお菓子を取って回します。

この日のお菓子は紅葉の形をしていました。

「お茶は季節感が大切」なのだそうです。

紅葉は、秋から冬へ移り変わる今の季節にピッタリです。

 

 

お茶菓子を頂いた後は、お待ちかねのお茶を頂きます。

 

 

なんと、今回は生徒の皆さんが自分のお茶を自分でたてる事に!

しかし、気負いは要りません。

先生からのアドバイスも有って、生徒さんはそれぞれにお茶をたてて行きます。

 

 

茶杓で取る抹茶の量と注ぐお湯の量で味はかなり変わるそうです。

 

 

それから、お湯を注いだ後は茶せんで泡立てます。

この場面。テレビ等でのお茶会を写す時には良く出て来ますよね。

ここでも、先生から面白い説明が。

 

 

「表と裏で泡立て方が違っていて、裏の方が良く泡立てるんですよ。

カプチーノみたいにクリーミーに」

 

 

なるほど、泡立て方にもお茶の個性が出て来るんですね。

この、人によって味わいが変わる所に、お茶会の面白さが潜んでいる様な気がします。

 

 

お茶を頂く皆さん、お味はどうでしたか?

 

 

お茶を頂いた後は、お茶をたてる人や、建物を見て回る人、

おしゃべりをする生徒さん同士等、皆さんで思い思いの時間を過ごして頂きました。

 

 

 

 

授業の終盤になると、生徒の皆さんからは様々な質問が出て来ました。

 

「流派の違いはどういうところなんですか?」

「色々な所作の違いが多いです。あの動作を2回する所があったり、

3回する所があったり、という様な違いと思って頂ければ良いと思います」

 

 

「流派はどれくらいありますか?」

「細かく分ければ100くらいはあるでしょう。

三千家と、その分家、最近生まれた新しい流派等もあります」

 

 

「お茶を習う所はどうやって探せば良いですか?」

「今はインターネットを活用しても探せますが、オススメは文化センターの茶道教室です。

費用を抑えて始められる事が魅力ですし、一度体験してみてから本格的に探すのが

良いと思います。それと、最初は流派にとらわれずに気軽に初めてください」

 

 

等々、会話が弾みます。

 

 

そして最後に、先生からのメッセージとして、

千利休の「利休七則」を紹介して頂きました。

 

 

「これはお茶の世界の話ですが、現代社会に於いても大切にして欲しい

心構えが詰まっている言葉だと思います」

 

 

まさにそうだな、と僕は思います。

例えば、七則の一つに「相客に心せよ」という一文があります。

相手への思いやりは、近頃良く話題に上る事の一つですよね。

その答えは茶道の中にあるのかもしれません。

 

 

最後に、先生を囲んでの記念撮影をして授業は終了しました。

参加した皆さんからも大好評を頂きまして、感謝しています。

 

 

この授業が、皆さんにとっての何かのきっかけや気付きにつながれば、とても嬉しく思います。

参加して頂いた生徒の皆さん、授業に携わったスタッフの皆さん、そして、先生を勤めてくださいました、香茶ぷろじぇくとのすず茶人さんと鈴姉さん、ありがとうございました!

 

 

(ボランティアスタッフ 山路 祐一郎)