フクオカテンジン大学

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レポート日記

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まちづくりの指南役、人をつなぎ場をまとめる「ファシリテーション」の基礎を学ぼう!

開催日:2010年11月27日

コラボレーション授業

【今回の先生】 吉田 まりえ (九州の暮らし創造研究所 代表)

 

【今回の教室】 九州大学箱崎キャンパス 統合新領域学府ユーザー感性学専攻棟

 

【特別授業】 九州大学社会連携事業による授業

この授業は、九州大学が「より良い社会の実現」に向けて、学内の様々な全英知、設備、研究組織と、地域・行政・社会貢献団体などと連携する取組です。今年度は、教育学部を主体として福岡テンジン大学と連携し、授業の企画を行ってまいります。

 九州大学 社会連携推進室 : http://www.kyushu-u.ac.jp/university/coopration/policy.php

 

会場は色づいた木の葉と歴史ある建物に囲まれた九州の最高学府、九州大学。
福岡テンジン大学in九州大学です。

 

開始に先立って行われた学長からの話によると、実際の大学と共同で授業を行うことは全国の中でも珍しいとのこと。福岡テンジン大学ならではの新しい形になっていくのかなと、期待に胸膨らみます。

さて、今回のテーマは「ファシリテーション」。
「ファシリテーション」とは、組織が目標を達成するために、会議が円滑に進むよう、会議の仕組みや流れを考え、多様な参加者の関わりを促しながら意見のとりまとめを支援する技術です。まちづくりの現場でも、とても重要なスキルと考えられています。

さまざまな方が参加する街づくりの仕事を通じて、ファシリテーションの経験をつまれた吉田先生によると、「会議での問題点」としては「意見が出ない」、「意見がまとまらない」、「話が長い人がいて困っている」などがあるとのこと。参加者の方もこれまでの会議で同じ想いがあるようで、うなづきながら聞いています。

 

 

 

 

 

「ファシリテーション」という言葉を今回の授業の告知で初めて知ったという方や、いつも会議をやっているという人などいろいろな参加者がいらっしゃいましたが、話を聴く姿勢からは「会議をうまく行いたい!」というみんなの想いが伝わってきます。

本日の流れや「ファシリテーション」についての簡単な説明などのオリエンテーションが終わり、まずはアイスブレイク。席を立って、教室の後方へ移動します。会場までの交通手段は?との質問にスタッフが持った「自転車」「地下鉄」「自家用車」「その他」のサインの中から答えを選んで、それぞれの場所に移動します。その後も「授業に参加する今の気持ち」などの質問に答えていき、その合間で吉田先生が質問を行い、参加者とやりとりを行うことで参加者の雰囲気もほぐれてきます。

 

 

 

 

授業の前半は座学で「ファシリテーションの基礎」について吉田先生の説明が行われました。今日の目標は「改善点を3つ持ち帰る」こと。それぞれが授業に参加するにあたって、具体的にどうやって自分達の課題を改善できるかという意識を持つことが大切なのですね。僕は会社の会議の改善を目的に挑もうと改めて思いました。

基本的な会議のながれとまとめ方について順を追って話が進みます。最初は「アジェンダの設定」について。会議で話し合われることや時間が明記されたアジェンダをきちんと作成する事前準備のステップがいい会議のためには必要だとのこと。

 

 

 

 

続いて「共有のステップ」。
「発言が少ない」と悩む場合にはここが問題になりやすいようで、これまでの経緯や背景を共有することやデータなどの考えるための材料を最初に共有することが発言しやすい環境作りに繋がるとのこと。ここがないと問題意識の高い人しか参加できないため、多くの人に参加してもらうためには、このステップが大切なようです。これまで自分が経験した会議を思い出すと、このステップは忘れがちで、いきなり議題に入ることって多いように思えました。

そして、「収束のステップ」。
評価基準を出して、意思決定することについて家族旅行を例にして、説明されます。「整理・分類」、「重みづけ」、「意思決定」についてもいろいろな手法があることが分かりました。

ちょっと休憩を挟んで、後半戦は発言をまとめながら記録して、流れや内容を共有する「ファシリテーショングラフィックの実践」。窓やホワイトボードに大型のポストイット(これがホントに大きくてびっくり。)を貼って、そこに書き込みます。

 

 

 

 

ペンの色や選び方、太い方の面をうまいこと使って、影をつけるように書くコツなどを学ぶのですが、文字の大きさや、書くことと発言することのスピードの差など、「書く」ことは予想外に手ごわく、みんな楽しみながらも悪戦苦闘。「書く」というよりも「描く」という感覚に近い

そんな中にもプロ風に見せるマジックの持ち方のコツなんかがあったりして、そこだけはすぐさっそく真似してみたりもします。

そしていよいよ「ファシリテーションの実践」。
5~6人の3つのグループに分かれてファシリテーターとファシリテーション・グラフィックを担当するグラフィッカーを設定して、「お昼はどこで?何を食べる?」をテーマに30分程度の話し合いを行います。

 

 

 

 

各グループ、ホワイトボードを前にいろいろとアイデアを出し合い、ファシリテーターが促しながら、まとめて行きます。

あっという間の30分が経過して、その結果を各グループのファシリテーターが発表します。
3グループそれぞれに異なるプロセスを経ながら話し合いが行われたことがグラフィックをみるとわかります。ファシリテーターやグラフィッカーに苦労したことや気づいたことを聞きながら、発表は行われました。気づいたことは書いていくことで、話し合いがぶれにくくなったり、話し合う順番を意識するようになるなということ。なかなか上手くいかないチームもあったみたいですが、みんないい経験になったようでした。

 

 

 

 

ファシリテーション・グラフィックを使うことで、会議の内容を見えるようになり、参加者と一緒にその場を作り上げることができることが実感できました。実際にやってみると、もっとこうした方よいとか、この場合はどうするのかなど、みんな色々な課題に気づき、もっと知りたい!という参加者の熱意が溢れていて、あっという間の13時。お腹がすいたところで授業終了となりました。

 

 

 

 

 

授業が終わったあともしばらく残って先生と話されたり、スタッフと話したりとそれぞれに感じたことがあったようで、「改善点を3つ持ち帰る」というお題もみなさんクリアできたのではないでしょうか。

ちなみに、ファシリテーションの実践のテーマの通りにランチに行かれた参加者の方もいたようです。普段の生活では接点がない人と大学通じて触れ合う、そういった交流も福岡テンジン大学の魅力の一つなのかもしれません。

九州大学で開催された今回の福岡テンジン大学、とても実り多いものでした。

 

(ボランティアスタッフ 白石 洋一)