フクオカテンジン大学

フクオカテンジン大学

企業・自治体の皆様 学生登録

レポート日記

一覧に戻る

悩める企業やお店、生産者が、元気になる!プロデュースの基礎を学ぼう

開催日:2011年03月26日

通常授業

【今回の先生】 江副 直樹 (ブンボ株式会社)

 

【今回の教室】 アクロス福岡 2Fセミナールーム

 

 

プロデュース。わかってたようでわかっていなかったこの言葉。

プロデュースってなんだ!?

 

 

みなさんはどんな商品に手を延ばし、どんなサービスに心打たれ、どんな場所を魅力的に感じるでしょうか。経済的に豊かといわれる現代日本社会、物質的に飽和状態にある現代日本社会において、人の心を掴むためのプロデュース。

 

今回の授業では、モノづくり、コトづくりに一から関わり、事業推進の戦略を提案、実践してきた江副直樹先生を講師に迎え、実例と実践から「プロデュースとは何か」を学びました。

 

 

3月26日土曜日、本日は福岡テンジン大学初の大型イベント[春の文化祭] Tenjin Sweets Garden 2011が開催され、同時進行での授業実施となりました。イベント会場である天神中央公園の甘い香りと熱気が届くアクロス福岡セミナー室が今日の授業会場。天気はもちろん晴れ。日本一の晴れ男岩永学長です。

 

 

 

 

今回の授業はディスカッション形式に席を配置、授業開始前に各テーブル内で自己紹介をしてもらいました。授業開始前に会話に花が咲き、早くもコミュニケーションの輪が広がっていきます。

 

 

 

 

授業開始にあたり、本授業における東日本大震災への義捐金の募金のお願いについて授業コーディネーターよりアナウンスがありました。義捐金の実績と寄付先の詳細に関しては、福岡テンジン大学ニュースにて報告します。

 

授業コーディネーターによる授業プログラムの説明があった後、プロジェクターを活用した江副先生の講義が粛々と開始されました。

 

 

 

○まずは気になる江副先生のプロフィール。そして、株式会社ブンボとは?

江副先生は元々コピーライターをされていました。コピーライトは完成されたものに対してのアクション。しかし、「ものにさかのぼりたい」、「作るところから関わりたい」という思いから、株式会社ブンボ(http://bunbo.jp/)を設立したのだそうです。ブンボの由来は分数の「分母」。様々な業種を分子として、それを担うという思いが込められているのだそう。

 

 

 

 

○先生の暮らし

プロジェクターに美しい自然の風景が映し出されました。

江副先生は福岡県朝倉郡東峰村にて、築80年の農家を借りて自宅兼事務所を開き、生活しています。釣りが趣味の江副先生。趣味を生活の中心におくことを24歳のときに思い、川釣りが楽しめる現在の環境を作りました。人口2700人の村であるが、WiFi接続により仕事環境としては快適なのだそう。

 

 

○先生の仕事

先生が携わった事業計画をいくつか紹介していただき、それら実例からプロデュースにおいて重要となるポイントを教えていただきました。

 

佐賀県の4つの建具屋のグループ「むっく」の事業計画のケース。

建具屋は家のなかのものを作るプロであり、注文に対し何でも作ることができるのにもかかわらず、住宅建設におけるプロセスのなかの最下流にいるという問題を抱えていました。そこで江副先生は建具屋の本質を問い直します。

 

建具屋が持っていたのは、大工よりも家具職人よりも優れた木工技術でした。しかし、建具屋は技術の腕を振るうことをよしとして、消費者ニーズと食い違ったデザインを求めてしまっていたのでした。

 

江副先生は、優れた木工技術をコンセプトにデザインを改め、ベーシックシリーズというシンプルなデザインを打ち出しました。ベーシックシリーズは注目を集め、「むっく」は内装や住宅提案にまで活動を広げることとなりました。

 

その他、漆喰メーカーの「田川産業」や、柿農家「柿之屋」、「エフコープ」などの企業改革。また、「竹田の食育ツーリズム」( http://www.taketa-syokuiku.org/ )や「九州ちくご元気計画」( http://kyushu-chikugo.net/ )といった地域活性化事業などを紹介していただきました。

 

 

○商品・情報・空間、そのド真ン中がコンセプト

プロデュースにおけるキーワードを図式化し、プロデュースにおいて重要なことはなにか、教えていただきました。

 

商品とサービス(=換金物)が第一にある。広告と広報(=発信物)が必要となる。そして、空間と環境(=建築物)をどのような形にするか。

これらの要素を司るものがコンセプトなのである。

だから一番重要なのはコンセプトなのです。

 

 

○質問タイム

いったん江副先生の講義が終了し、生徒からの質問の時間をとります。すると、続々と手が挙がりました。

 

「商品の長所や短所をどう見極めて打ち出していきますか?」

 

商品の重要となる要素を見極めるのは江副先生の第一判断。そのためにもまずは、江副という人間とその方法論を信頼してもらう必要があります。

 

「コンサルタントとプロデュースの違いは何ですか?」

 

コンサルタントはアドバイスでしかなく、その前も後もない。しかし、プロデュースは根っこから関わり、ともに完成図のイメージとビジョンを描くことをする。

 

「竹田の食育といった地域活性化の取り組みでは、事業開発後にその地域における持続体力などはあるのか」

 

恩恵的に事業開発を提供しているのではなく、成功事例を当事者とともに築くことを目的にしています。当事者の意識を改革し、住んでいる人たちが誇りを持てることがまちづくりの成功といえます。

 

 

○グループディスカッション

講義に続いては、生徒のみなさんで実際にプロデュースをします。

先生から紹介されたモデルケースを参考に、各グループで自分だったらどのような戦略を立てるのだろうかをディスカッションし、プレゼンテーションします。

 

お題は「味噌玉」。これは、竹田の地域活性化の事業で江副先生が実際に取り組んだもののひとつです。

 

お題に対して

・商品のネーミング

・パッケージデザイン

・販売価格

・ターゲットと売り場の想定

を議論項目としました。

 

 

 

 

いざ、GD開始。

早くも議論は白熱し、意見が飛び交います。また、テーブルに敷かれた模造紙にイメージを描き、共有します。みなさん江副先生の講義でイメージが具体的に沸いていたようです。

 

 

「味噌玉の用途、場面は何?」

「どんな人向けの商品になる?」

「そもそも味噌玉のコンセプトって何だろう?」

 

 

意見を交わし、イメージを共有し、少しずつ形を作っていきます。

 

 

 

 

設定された約30分の時間はあっという間に過ぎ、ついにプレゼンテーションの時間となりました。

 

 

 

 

書き込んだ模造紙をメンバーで持ち、ディスカッション内容を発表していきます。

各グループそれぞれに色があるプロデュースで、短い時間にもかかわらず完成度の高いプレゼンテーションが披露されました。

 

 

 

 

○フィードバック

プレゼンテーションが終わったところで、実際に江副先生がどのようにプロデュースしたのかを教えていただきました。

 

パッケージデザインの刷新にとどまらず、商品の改良まで、江副先生のプロデュースの足跡を辿りました。さっきまで議論を重ねていた内容だけにみなさん頷きながら先生の話に聴き入ります。

 

 

○結びに

江副先生からのフィードバックが終わり、最後の質問時間。

 

「Webの活用についてどう思いますか」

 

提案の中心にホームページサイトやブログなどのWeb活用があります。ブログなどは更新性やコストの面で利点があり、SNSについても乱用はしないが、効果を図るというところで活用します。

 

「情報発信の必要性についてどのように考えていますか」

 

どんな業種、職業の方に対しても「自力発信をしましょう」と伝えています。どんなに優れた商品であっても、知らせることができなければ提供することはできないからです。

 

そして、最後に

「今回の東日本大震災に対してどのようなことを感じましたか?」

という質問がありました。

 

津波が押し寄せる映像を目の当たりにして愕然とし、自分に対する無力感を感じました。では自分になにができるのか。今回の震災は福島原発という世界的な課題を知らしめました。効率化のためエネルギーが集中していることに原因があり、エネルギーの分散が今後必要となると考えます。その取り組みとして、江副先生はハイテク水車というローカルレベルで自給できる循環型発電システムを提案しています。このように、未来モデルを構想し構築することが自分にとってできることだと感じました。

 

 

 

 

授業の最後に江副先生よりメッセージをいただきました。

日本は高度経済成長でたくさんのスペシャリストが生まれました。しかし、スペシャリストがあふれる現代社会において、全体を俯瞰して動かすゼネラリストが求められています。そういった人が九州、日本のポテンシャルを引き出すことができるのです。

 

 

効率的にモノが売れる仕組みづくりではない、思いが形になったモノを多くの人に届けるための道づくり。成熟社会といわれる日本が目指す方向をあらためて考えるきっかけとなる授業でした。

 

 

江副先生のブログをチェック↓↓

■ブログ 「プロデューサーはペテン師か?」

http://bunbo.jp/blog

 

(ボランティアスタッフ 青柳雄太)