レポート日記
一覧に戻る見て、触って、嗅いで…現場体験授業!~あなたの知らない畳の世界~
開催日:2016年09月24日
通常授業
皆さんは畳のあるお部屋に住んでいますか?
最近は引っ越し等で畳に触れる機会が少なくなったとしても、
畳のあの香りを思い出すとなんだか懐かしさや癒やしを思い出す方も多いのではないでしょうか。
今回は、その心地良い香りに満ちた畳屋さんで授業を行なって来ました。
生徒の皆さんも畳屋さんに来るのは初めてとのこと。
そんなプレミアムな教室での開催です。
まずは先生の笠さんから様々なお話を聞きました。
畳の寿命や手入れの方法等、畳についての為になる知識がドンドン出てきます。
(例えば)
・畳の歴史はなんと奈良時代から!今の形になったのは大体江戸時代くらい
・い草=国産、熊本というイメージが強いけれど、最近ではほとんどが中国産になっていた時代も
・最近では3割くらいが畳の無い住宅を建てている(!)
・畳は湿気を吸ってくれる、日本の風土に合った建具。
(でも最近の住宅は気密性が高いので、扇風機や除湿機が必要)
でも1番心に響いたのは、笠さんの畳やご自身のお仕事に対しての真摯な姿勢でした。
笠さんは17歳のときにお祖父さんのお手伝いをしてから12年畳屋さんを続けられて来て、
畳の醍醐味やお客さんに喜んで頂ける喜びに畳屋さんとしてのやりがいを感じているそうです。
その中から、様々な体験や人との出会いについてもお話し頂きました。
例えば、笠さんはい草の農家さんの所にも行ってお仕事を手伝ったりもしています。
その仕事は忙しいときは早朝5時からい草の加工をし、お昼からは畑に行って夕方まで作業と、
聞くだけでも大変そうな重労働です。
「そうやって農家さんの思いをつむいで、畳の本当の価値を伝えたい」とのことですが、
事実、外国だと作り方に違いが出て、含水率が低く、すぐに乾燥してしまう畳になってしまいます。
ですから、笠さんからの
「直接肌に触れる物だからこそ、国産を選んで欲しい」
という言葉には会場全体のうなずきがグッと深くなる時間が生まれていました。
また畳の魅力として、裏返しについても教えてもらいました。
(裏返し:畳のい草だけの面を剥がし、裏返したり新しい物に交換する作業)
笠さんいわく、
「畳は3度楽しめる!」とのこと。
その3度とは…
1.できたての畳の青さを味わい、
2.日に焼けて表情が黄色くなっていく落ち着きを楽しみ、
3.畳の面を裏返して新品とも違う青みに触れる
なんだそうです。
しかもその期間(畳の寿命)は8〜10年で、
土台は15〜20年は持ちます。
日々の生活を共にしながら、長い期間を掛けて変化を楽しめる存在はとても魅力的ですね。
なんだか革製品を持つときの感覚を思い出しました。
ここで豆知識!
「もしも畳にお醤油をこぼしてしまったら?」
「マジックインキを当ててしまったら?」
そんな時に使える裏技も教えてもらいました。
(お醤油には、)
小麦粉を振りかけて吸収させて、塊を拭き取り、乾拭き。
(マジックには、)
ミョウバンを振りかけて、根気よく手で擦り付け、乾拭き。
たったコレだけです!
覚えておきたい便利な裏ワザですね。
続いては、実際に先生が畳の縁の部分、畳縁を縫う様子を見学します。
畳縁には「全部見れない」ほどのバリエーションがありました。
ここでお客さん一人一人の個性を出せるのも魅力の1つですね。
使用するのは巨大なミシン台の機械!
畳をセットして、そこに沿ってミシン台が動きます。
この機械を使い、
・平縫い
・折り曲げ(角の折り込みの仕上がりに熟練の技が光るそうです)
・返し縫い
という工程を見せて頂きました。
縫い変えた物と前からの物を並べると、雰囲気がガラリと変わったのがとても良く分かります。
次は私たちが手を動かす番です。
小さな畳を使って、コースターづくりにチャレンジしました。
自分の好きなテープを選び、それを畳を囲う様に貼り付けます。
自分の分の畳を貰えるのは嬉しいですよね。今日聞いた話も一緒に持って帰られそうです。
そして最後は今日1日の振り返り。
生徒さんたちからは、
「畳が匂いや見た目だけじゃなくて、長い間使われていた理由が有った事が良く分かりました」
「ものづくりの現場に来たのは初めてだったけど、1つの物に掛ける機械や工程を知れて良かった」
といった感想をいただきました。
最後に、コーディネイターの執行さんから。
今回の授業のきっかけは、彼女自身が鶴田畳店さんの出展されたブースと出会った事でした。
「誰に聞けば?みたいなハードルが笠さんを知れて下がったのでは。
これからも、例えばホームページやイベントを通じてまたお会いしてください。」
(鶴田畳店さんは様々なイベントへのご出店やfacebookページを運営したりもしていますよ!)
https://www.facebook.com/turutatatamiten/?fref=ts
授業を通して、僕自身、畳屋さんのイメージが大分変わりました。
その人に合わせたオーダーでオリジナルの物を作り、
メンテナンス等で畳屋さんとお付き合いを続けられる。
そんな人と人、一対一の付き合いが重なるお仕事は素晴らしく、
日本特有の文化に親しみながら私たちが末永く接点を持てる事への喜びも覚えました。
いつか畳屋さんにオーダーをお願いする未来が今から楽しみです。
(ボランティアスタッフ 山路祐一郎)
【今回の授業のコーディネーター】
執行 沙恵
1986年福岡に生まれ福岡で育つ。臨床検査技師として顕微鏡の中の細胞と向き合う仕事をしていたが、世の中の情勢や社会環境が気になるようになり、縁あって外資系金融機関営業職に転職。仕事を通した様々な人との出会いの中で岩永学長とご縁があり、月に一度行われているテン大学懇親会に招待してもらった。「福岡が好き」という共通点をもった、業種も年齢も全く異なるスタッフがみんなキラキラしていて楽しそうで魅力的だったのが、テン大の第一印象。そして「自分も岩永学長のようなソーシャルリーダーになりたい!」と憧れるようになり、テン大に出会って3年目、転職を決意。現在は宗像市にて念願のまちづくり関係の仕事に携わっている。
【今回の先生】
笠 大祐
業歴11年の29歳。(2016年現在)祖父が営む畳屋の仕事に触れ、その魅力に惹かれ、畳の仕事で一生メシを食べて行くコトを決意。畳、い草を伝えるため、日々、ワークショップイベントなど、積極的に幅広く活動している。趣味はバイク(モトクロス)。