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未来の天神を描こう!~ビッグバン後の景観デザインまちあるき~

開催日:2024年12月21日

コラボレーション授業

今回の授業は、2024年7月に開催した「てんちかとアート」の授業の続編ということで、天神の”景観”がテーマ!

 

 

また、天神ビッグバンに認定される条件の一つとして「まちに潤いを与える木陰や花、目に生映える緑化の推進」があります。

※参照:天神ビッグバンとは?(福岡市HP) 

そんなビッグバンが進む天神のまちを実際に歩きながら、未来の“歩いて楽しいまち”をみんなで思い描きました。

 

 

まずは4つのグループに分かれてチェックイン

「自分が思う楽しいまち、魅力のあるまちとは?」を交えて自己紹介。

初めて授業に参加した人もいましたが、どのグループも盛り上がっていました!

 

 

最初はWe Love 天神協議会・事務局長の荒巻先生に

「We Love 天神協議会はどんなことを目指して活動しているのか?」

についてお話いただきました。

 

 

 

戦後の天神は交通インフラが発達し、人も車も集まり流通戦争がおき、2000年代前半には違法駐輪も増加し(当時天神地区は全国ワースト1位)「天神ヤバくね?」状態だったとのこと!

 

そこで2004年に福岡市と協働で「天神ピクニック」という社会実験を開催したところ、「オープンカフェは歩いていて楽しい!」という意見や、お店にとっても売上が上がり良い効果が得られたとのこと。

 

そして、2006年に天神地域のまちづくりを推進していくために「We Love 天神協議会」を発足されました。

 

 

2008年8月、福岡市の機能更新誘導方策によりビルの容積率が緩和(800%→1200~1400%まで引き上げ可能)されました。

 

これには条件がいくつかあります。

その中の1つに、今までより高いビルを建てていい代わりに、賑わいや憩いのスペース(セットバックや広場空間)を確保してね!という条件があります。

 

そこで生まれるのが「公開空地」。オープンスペースの一種で、ビルの敷地に設けられた空地のうち、一般に解放され自由に通行または利用できる区域のことです。

 

 

天神ビッグバンに伴う公共空間(公開空地等)の活用に向けた取り組みをいくつか紹介していただきました!

・オープンキッチンプロジェクト…ビルの建替えで、一時的な飲食店の閉店によるランチ需要の高まりに対応するため、キッチンカーやオープンカフェ、テイクアウトなどランチの提供を行っている。

・TENJIN SHWTIME…ダンス・大道芸などのパフォーマンスを一か所だけではなく数か所で開催することで、エリア全体の賑わいづくりを行っている。

・道路空間の利活用…新型コロナの際に行ったテラス営業等を、現在も恒常的に実施。

 

 

「2040年には道路の景色が変わる?!」

国土交通省も車優先から歩行者優先へ推奨しているとのこと。

 

ウォーカブルなまちづくりの代表的な事例として、パリのシャンゼリゼ通りや大阪の御堂筋・なんば広場を紹介されました。他にも国土交通省 WALKABLE PORTAL(ウォーカブルポータルサイト)に掲載されています。

※ウォーカブルとは…「歩く」を意味する「walk」と「できる」の「able」を組み合わせた造語で、文字通り「歩きやすい」「歩きたくなる」「歩くのが楽しい」といった語感を持っています。

 

 

天神の未来もウォーカブルなまちになることを夢見ながら、2021年度より「憩いと時間と空間プロジェクト」をこれまでに5回実施。

 

その結果、歩行者優先の空間づくりを行うことで

・街に活気が出る

・景観が向上する

・休憩・気分転換できるスペースができて良い

・ずっとして欲しい!

という声が多く聞かれたとのこと。

 

 

課題として、電源設備や椅子・テーブルの保管場所問題、ビルに入居しているテナント等の意見に大きく左右される、開発⇔運営部門の連携不足等が出てきたが、解決のためには、空間をつくる側とつかう側の連携を強化していくことが必要だということでした。

 

 

2040年の天神は、この日いただいたクリアファイルのイラストのようなまちが実現していたら素敵ですね!

 

 

次に、緑と空間デザインについて

神木先生(KAMIKIKAKU CREATIVE PRODUCE 代表)のお話。

 

 

 

都市で見かける樹木は苦しんでいる!首が締まっている!根が張れない!のだとか。

自分も樹木のある歩道を歩いていると、舗装やインターロッキングブロックが盛り上がっていたりしている箇所を見かけるときがあるが、それは樹木が苦しんでいるんだな…と認識しました。

 

最近の建設会社のCMは、建物を建築する風景ではなく、人が暮らす空間をつくっていくというものが多くなってきているとの事。また、これから「コンパクトでゆとりのあるウォーカブルなまちづくり」を行っていく中で、人が中心となってワクワクすることが大切だと仰っていました。

 

 

これまでに手がけられたり関係した「緑のある空間を増やす仕事」をいくつかご紹介していただきました。

 

 

①ピエトロ本店~セントラーレガーデン~

 ・会社の意向で、内装業者とともに、みんなが憩える場所を作ろうと計画

 ・緑葉を40~60%使用し緑豊かに

 ・維持管理はみんなで行っている

 私も授業の後に見に行きましたが、夜はライトアップされてとっても素敵な空間でした!

 

②阪急梅田茶屋町界隈の再開発

 ・もともとは極端に緑が少なかった地域

 ・地上の複数個所にみどりを配植

 ・結果、街中のオアシスを求めて訪れる人が増えた(人の流れが変わった!)

 

③福岡市植物園ガーデナーの取り組み

 ・福岡市では5年前から一人一花推進運動を実施

 ・現在所属の177団体中、そのうちアクティブに活動(庭師・ガーデナー)しているおよそ50団体が所属団体

  へ指導しながら市内の花壇等を整備

 ボランティアでただ植えておしまい…ではなく、お庭のプロの方から土づくり~管理まで指導していただけると嬉

 しいですね!

 

④西鉄桜並木駅前広場「あもうれ」

 ・九大生が企画

 ・子どもたちともみんなで一緒に家具をつくる…「共創」

 

などなど、素敵な事例をたくさん紹介していただきました。

 

 

まちづくりで大切なことは

・みんな笑顔になること

・みんなが楽しいと思えること

・憩える場所があること

であり、それらを考えてつくられたまちに人が集うと「活気・会話・笑顔があふれる」

ということを仰ってありましたが、本当にその通りだなと思いました。

 

 

それではいよいよグループワークまち歩き

の前に、作戦会議!

 

 

天神の広場や公開空地が載っているMAPを参考に、グループ内でどの経路を行くのか話し合いました。

決まったグループからまちあるきに出発!

 

 

公開空地をメインに「なんかこの空間もったいないな!」を見つけ、「ここをこんな風にしたらいいかも!」を考えながら歩きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

私は天神の地理に不慣れで、「今どこ?」とMAPを見ることで精一杯でしたが、グループメンバーは天神に詳しい人が進む道を決めてくれたり、写真をオープンチャットにバンバンUPしていただき、とても助かりました!生憎の雨模様でしたが、まちあるきの途中では「教室に戻って食べよう♪」とみんなでおやつも買ったりして楽しかったです!

 

 

教室に戻り、しっかりおやつも頂いたところでまちあるきのふりかえり。

グループワークでは

 

①まちに潤いを与える木陰や花、目に映える緑化

②ゆっくりと休憩できる家具(椅子など)がある

 

という2つのテーマについて、各自フセンに書いた後にグループ内で話し合いました。

 

 

私たちのグループは

・古い家具の活用やリユース

・花植えや管理において、経済的にもスポンサーを増やしたり、若い人や学生が参加する機会を増やす

・地下道の壁に子どもたちが天神の未来図を描く

等の意見が出されました。

最後に、それぞれのグループから出た意見を発表してもらい、みんなでシェアしました。

出された意見の中から、いくつかご紹介します。

・理由がなくても行きたくなる仕掛けづくり(ARを活用したアートとか)

・暑くても寒くても魅力を感じる空間(水辺とのコラボとか)

・土日祝の屋台の昼間営業

・ポイントとポイントを結ぶ動線を賑わうように見せる

・間接照明を設置する

・柱の周りにベンチなどの休憩スペースを設ける

などなど、これからの公開空地の活用で参考になりそうな意見がたくさん出ていました!

 

 

「天神ビッグバン」と聞くと、新しいビルが建つんだ!とばかり思っていましたが、今回の授業を通して、人工物の部分に人々や自然の温かみが調和して、更にみんなが笑顔で楽しめる天神になっていくということが分かりました。また、天神だけではなく、自分たちが今住んでいる地域でも、みんながずっと笑顔で安心して暮らせるまちにしていくためのヒントを頂けたのではと思います。

 

 

〈この授業のスタッフ〉

Report 戸次 まゆみ

Staff 細川 善弘、與小田 俊宏、森宗 楓矢

【今回の授業のコーディネーター】

未来の天神を描こう!~ビッグバン後の景観デザインまちあるき~

岩永 真一

1981年、福岡市生まれ。就職氷河期世代で内定ゼロで大学を卒業し、アルバイトで社会人を始める。大学卒業前より、まちのそうじをするgreen birdに参画。その後は広告業界でプランナー/ディレクターとしてサラリーマンをしながら、福岡・天神エリアのまちづくり団体にも参画。27歳で脱サラして独立、28歳で福岡テンジン大学を立ち上げ学長を務める。31歳より複数の組織に所属する複業家の働き方を始める。現在は、人材育成・教育・まちづくりや、複数の企業の経営支援など、複数の組織で複数の職業を実践する複業家。2017年、福岡の歴史絵本「のったよ!ふくおかタイムスリップ号」をプロデュース・脚本担当し発刊。2025年よりKBC「ぎゅっと」の第3月曜コメンテーター。

 

■WEBサイト

岩永真一/学びの場をつくる専門家

登壇実績

【今回の先生】

未来の天神を描こう!~ビッグバン後の景観デザインまちあるき~

神木 直哉

大阪出身、神奈川育ち。建築資材や景観資材に関する仕事を行い、福岡では住宅街から都市部までの「緑のある空間を増やす仕事」を手掛ける。住宅施工・設計・造園業にて、まちづくりに繋がるプロデュースの支援を行い、花や緑に笑顔があふれるまちづくりを目指して活動中。

 

未来の天神を描こう!~ビッグバン後の景観デザインまちあるき~

WeLove天神協議会

天神のエリアマネジメントを行う団体で、福岡市をはじめ天神を拠点とする多くの企業で構成する協議会。福岡市の人口増加とともに福岡の経済・情報・ファッションの発信地として栄えてきた天神だが、過密化による交通渋滞や違法駐輪などの課題を抱え、市や地権者・事業者による「新たな都心づくり」の試みとして、2004年に歩行者天国やオープンカフェなどの社会実験を実施。これがキッカケとなり「I Love 天神フォーラム」が開催され、2006年に天神の様々なまちづくり事業を行う「WeLove天神協議会」が誕生。2008年に「まちづくりガイドライン」を策定し、日本全国のエリアマネジメントのモデルにもなっている。

 

■We Love 天神協議会

http://welovetenjin.com/

 

【今回の教室】

未来の天神を描こう!~ビッグバン後の景観デザインまちあるき~

天神のまち

福岡市中央区にある九州一の繁華街。天神という地名は、江戸時代に黒田家が福岡城の鬼門にあたる場所に移された水鏡天満宮に由来する。以後、江戸時代から「天神町(てんじんのちょう)」と呼ばれ、1964年に隣接する因幡町・鍛冶町が含まれた「天神」となった。現在では、多くの商業施設が集積し繁栄していく一方で、渋滞や違法駐輪、落書き、ポイ捨てなどの問題も多く、課題解決に向けた社会実験などを経て2006年に、行政や商業施設、天神に居を構える企業などによりエリアマネジメント組織「We Love 天神協議会」が設立された。(写真提供:福岡市)

 

■We Love 天神協議会

http://welovetenjin.com/