レポート日記
一覧に戻るチキン南蛮食べに行く?〜自然の恵みを食べて、呑んで、見て、感じる旅〜
開催日:2015年02月28日
コラボレーション授業
心くすぐられる旅っていうと、どういったものをイメージしますか?
今回の授業には、そういったものが隠されていそうです。
教室は、福岡から離れた宮崎県は北部、高千穂・日之影・延岡という大自然と神話の宝庫。
スピリチュアルひむか観光協議会のみなさまを先生にお迎えしました。
天神からバスで揺られること約4時間、延岡から授業の始まりです。
早速、生徒さんたちに名物ハムタイのおもてなしが!
(似ているものに福岡のむ●ちゃんまんじゅうがありますね)
はじめは、3グループに分かれての町歩き&ランチには、グループ毎に異なるテーマ設定があります。
A:アラサー女子が・・・
B:定年退職した男性が・・・
C:日本を初めて旅する外国人が・・・
3人の先生がそれぞれグループを引率しながら町歩き開始です。
延岡といえばチキン南蛮発祥地、その味を引き継ぐお店が有名。2グループが花より団子ということで名物を味わったようです。感想を求めると、
「めちゃめちゃ美味しかった!」
もうその笑顔で全てを物語っていました。
(今回は食べ損なったので、なんとも羨ましいです)
一方、外国人担当のグループはというと……。
外国の方が好きそうなレトロな銭湯、歴史深い畳堤、鮎やな、日本初のナンパスポット愛宕山などを学びました。
御朱印を求め今山八幡へ。御朱印って手書きやスタンプなど様々ですが、その神社ならではの味わいがあってハマるそうです。
(御朱印巡り4年目、すでに3冊目のベテラン生徒さん談)
次いで、お待ちかねのひでじビール工場見学では、原料であるホップと完成後のビールの飲み比べに、真剣な表情で味わっている生徒さんの様子が印象的でした。
できたての太陽のラガーはよく知るラガーとは異なりすっきりと爽やか。工場の裏手には、やはずの滝が流れるふたこぶ姿のむかばき山が見えます。うまいビールはその湧水を使用しているそうです。
そんな雄大な風景を眺めながらのマイクロバスでの移動中、アクシデントに遭遇。しかし、チームひむかのみなさんと生徒さんたちの連携で無事に乗り越えて、日帰り組はここで行程終了です。
1泊組は、集落の入り口には水車が目印の宿泊先、秋元地区へ向かいます。
くねくねとした山道を登った先に「めしやしんたく」という古民家を改装した食堂で夜ごはん。秋には夜通し神楽が舞われるため神庭が設けられています。
地元で採れた野菜やにじますを使った郷土料理をいただきました。少量でも品数が多く、一つ一つ丁寧に作られた地元の味にお腹も舌も大満足です。
たくさんの種類のひでじビール、芋、米、栗の焼酎、シャンパンのような日本酒や梅酒など地元のお酒も入って会話が弾んでいました。
あちこちからあがる「おいしい」の声に先生方もうれしそうに「ありきたりのおもてなし」「いつもどおりのおもてなし」とおっしゃいましたが、その「ありきたり」の豊かさが福岡とは違うのでしょう。
みなさん、料理を担当したおばちゃんたちの素敵な笑顔と「いつもどおりでありきたりな」おもてなしにぐぐっと心が掴まれた様子。
その後、男女に分かれて民泊「まろうど」の女性陣は名物のようかんで女子会だったようです。
男性陣は「蔵守」にておいしいおつまみで二次会、いつの間にか夜が更けていきました。
普段はついコンビニ弁当で済ませるという男性の生徒さんは、「新鮮な野菜の美味しさやバランスの大切さ改めて気づかされた」とのご感想でした。
2日目。
しっかりと朝ごはんからスタート。普段あまり食べないという生徒さんも思わず御代わりするほどです。
女性陣と合流し、くりと砂糖しか使っていない栗羊羹の販売所にて購入&風景を眺めます。底から立ち上がるもやが幻想的でまるでジブリアニメの世界のよう。
「マチュピチュみたい」との声に「雨だから見られる風景なんです」と先生。なるほど、四季折々の風情が楽しめるのですね。
次に、バスは高千穂神社へ向かいました。ガイドの先生に神社のトリビアをいくつも伝授いただきました。55mの秩父杉、鉄の狛犬、伊勢神宮とここにしかない鎮め石などなど。鎮め石では「たしかに感じた」と生徒さん。
高千穂峡では、55mという秩父杉のすごさがわかる陸橋の下におります。見上げると遥か上方に橋が見えるのですが、46mしかないというから驚きです。
10万年かけてけずられたという岩、地層や渓谷など大自然の営みを目の当たりに驚きの声があがりました。滝が流れ落ちる川でのボート遊びや風景を眺めがら遊歩道を散策、やんちゃだったスサノオのお話も教えていただきました。
お昼は天庵さんで宮崎産のそば粉を使ったおいしいお蕎麦をいただいた後、最後の訪問エリア、日之影に向かいます。
92%が森林という日之影には伝統工芸として竹細工の職人さんがいらっしゃいました。アメリカのスミソニアン博物館に収められているほどの腕の持ち主。その技を受け継いだ匠に竹細工作りを習い、実際に作ってみます。
四海波(しかいなみ)の籠とよろず籠、2つに分かれて作業開始です。
細くて硬い竹ひごをいとも簡単にあやつる先生の手元を見ながらいざ編み始めると、慣れはあるのでしょうが、その扱いの難さを痛感しました。
それでも、よろず籠は中学生でもできるということで、1時間程度で完成です。すこし複雑な四海波のほうはもう少し時間がかかるので、待っている間に、ささっと先生が馬を作ってくれました。
いよいよ授業も大詰め、最後にワーク&発表です。初日の3グループに分かれて、各テーマに沿って振り返ってもらいます。
問1:”ここにしかない”というコトやヒトは、どんなもの?
問2:写真を撮りたい・絵になる風景は、どんなところ?
問3:帰って、”誰かに自慢したくなる”と思えるものは?
まずは、長年連れ添った妻に感謝の気持ちを伝える旅のシナリオづくりを行ったBグループからです。
答1:知らなかった名産品の桃や栗、キャビアの石鹸
答2:高千穂峡、マチュピチュみたい
答3:本物のチキン南蛮、人があったかい
次いでに、アラサーの女子友達と女磨きの旅にでるAグループは、
答1:竹細工、森林セラピー、栗のリキュール、ハムタイ、チキン南蛮
答2:心がほっこりとする、ハート石、食堂しんたくのおかみさんのスマイル
答3:目に見える思い出の御朱印や行った人しか味わえない民泊
などに加えて、自分たちで川苔を採ったり、農業体験もしたいという願望も発表してくれました。
最後のCグループは、日本のマニアックなところを旅して、自国の友達に自慢するためのコースづくりとして、
答1:民泊やしんたくの人のあたたかさ
答2:神秘的な美しさの高千穂、いろんな外国語併記でのチキン南蛮マップがあればよい
答3:日本人の手先の器用さががわかる竹のアート、レトロな銭湯
授業を総括してスピリチュアルひむか観光協議会さんから
「そもそも、なぜ参加したの?」との質問に、
「テン大は一人で参加が基本で、自分が素直に出せる」、「遊びと学びがある」。
「福岡からの距離感はどう感じた?」には「思ったより遠い」「現地の足の確保が必要」といった率直な意見が聞かれました。
そこここに神様を、大自然の神秘さや恵みを、何よりそこに住まう人たちの智恵とあたたか~いおもてなしを感じられる旅。また遊びに行きたい、そう思える何かがそこには確かにあったのです。
あ、そうだ、チキン南蛮食べに行こうっと。
(ボランティアスタッフ つじ りゅういち)
【今回の授業のコーディネーター】 谷口 竜平
福岡テンジン大学授業企画統括
1980年福岡県宗像市出身。広告業界で企画・デザインに携わる。現在はブランディングディレクター/デザイナーとして企業などのコンセプトメイキング、ブランディング、VI計画、ロゴ制作、広告企画など多岐にわたって活動。その他に、2013年1月より北九州市立大学の契約職員として、文部科学省GP事業のブランディングおよび学生の教育にも携わる。
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【今回の先生】 高千穂・日之影・延岡のみなさん
スピリチュアルひむか観光協議会
スピリチュアルひむか観光協議会は宮崎県北部に位置する高千穂町・日之影町・延岡市の広域観光を推進するために活動している。キーワードを『神旅』とし、「神話・伝説」、神が宿る「自然」、神業としか思えない「技」を体感する旅を演出している。 今回のコラボ授業では、当協議会のメンバーを始め、地域をよく知る案内人の方たちにこのスピリチュアルひむかエリアの魅力を伝えていただく。 ※スピリチュアルひむか観光協議会の構成団体高千穂町、日之影町、延岡市、高千穂町観光協会、日之影町観光協会、延岡観光協会、延岡商工会議所
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【今回の教室】 高千穂町・日之影町・延岡市
アマテラスオオミカミが岩戸隠れしたという天岩戸神社を始めとする数々の神社がある高千穂町。”神話の里”として、またパワースポットとして、全国から多くの観光客が訪れる。特に、約7kmに及び柱状節理の断崖名勝天然記念物である高千穂峡は、神秘的かつ雄大な雰囲気をかもしだしている。 山々に囲まれた日之影町は、面積の約92%を森林が占めている。緑の葉を茂らせる広葉樹林の木々、きれいな水が流れる川など、素晴らしい自然を有する。この山の暮らしの中で伝わる竹や藁をつかった細工は、芸術性も高く、海外でも評価されている。 旭化成の生まれたまちとして知られる延岡市。まちなかに工場がありながら日本一の水質を誇る五ヶ瀬川が流れ、この水ではぐくまれた食材や地酒は県内外で高い評価を受けている。また、延岡発祥のチキン南蛮、辛麺など、市民に愛されるソウルフードも楽しむことができる。
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