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レポート日記

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あなたのストーリーにアートがやって来る日

開催日:2015年12月26日

通常授業

年の瀬も押し詰まった12月26日土曜日。昼過ぎでもコートがないと肌寒い冬の日。

アート好きが赤坂・けやき通りに面したマンションの2Fに集まりました。

私は外で生徒さんが道に迷わないか見ていたのですが、

みなさん迷わず歩を進めていらっしゃいます。

これから何が始まるのか、ワクワクしているのがみなさんの表情に表れています。

開始時間5分前までに全当選者が座席につく大盛況。満席です!

 

 

 

 

≪トークセッション≫「ギャラリー≒美術館?」

 

今日の教室は、ギャラリー!『GALLERY MORYTA』です。

内装は白壁造りに所狭しと作品が吊り展示されており、上級なおしゃれスポットと言う趣です。

ほとんどの生徒さんが初ギャラリーということもあり、スタッフも若干緊張の面持ちです。

 

 

 

 

先生の森田さんは、大学で経済を学ばれた後、食品を扱う商社に勤務されました。

もともと芸術畑ではなかったとのことです。

 

では森田さんがギャラリーをオープンされ、

アートフェアを天神西鉄ソラリアホテルにて開催するまでに至ったきっかけとは?

それは3歳年下の弟さんがフランスに行かれたことだったそうです。

 

フランスで生活された弟さんは、

森田さんに「日本で過ごす時間は人生が3分の1になる」と言いました。

「フランスでは新しいものを見ることで、新しい自分を発見する。

新しい交友関係が生まれ、この人たちと何か一緒に出来たらいいな、

というクリエーターと出会える」と。

 

 

 

 

日本の美術館は流れ作業だと言います。

有名画家の絵画展に大勢の人が押し寄せ、

きれいな壁に飾られた絵を遠巻きに見ては前の人に付いて進む。

行動成長に伴うマスコミの発達、情報過多の弊害です。

「本当に自分が欲しいもの」を日本では見つけにくいのです。

 

 

25年前、森田さんは「ヨーロッパ人の時間の使い方」をテーマにギャラリーをオープンしました。

絵をしっかり見ずに、

作者名・注釈や値札を見て有名画家の絵画をありがたがる日本の風潮に対して、

「自分の物差しを持つ」ことを提案したのです。

心の中の本当の想いと向き合い、

ギャラリーで自分が本当に共感したアートを購入する。

アートを暮らしに取り入れる生き方です。

 

 


 

授業コーディネーターの山路さんは、

バックグランド(出身、生まれ育ち等)が自分と似た人のアート作品を好きになるとのことです。

「アートのあるレストランは美味い」とも言われています。

自分なりのこだわりがそこにあるからです。

アートを手に入れるドキドキを山路さんはこう説明します。

「自分の得たサラリーでアートを購入するか、迷ったとします。

買った場合、そのことで自分はHAPPYになり、

それは周りの人を勇気付けるパワーにつながります。

買うことを諦めた場合、後悔だけが残ります。」

 

 

森田さんの提唱するアートフェアが日本の美術館と違うところは

「気に入った作品をその場で買える」ことです。

日本では経済が停滞して自治体が困窮するとアートや芸術は切り捨てられる対象ですが、

海外では経済が停滞した時ほど土地の文化をより大事にします。

 

例えば台湾の高雄では芸術特区があり、土地の文化を大事にしています。

日本では絵画はお金持ちが買うイメージがありますが、

海外では学生が20万、30万の絵を複数回買うこともめずらしくありません。

 

森田さんの弟さんのように、絵を買う勇気はフランスへ行く行動力にもつながるようです。

 

 

 

 

≪ワークショップ≫「ギャラリーを他の呼び方で呼ぶなら?」

 

ここからは4人一組のワークショップです。

「今日はギャラリーに行ってくるよ」って家族に言うとちょっとキザなイメージですよね。

ギャラリーを身近な呼び方にすると?

ということをテーブルのメンバーで思い思いに語り、付箋に書き上げていきます。

 

趣味の合う人が交流する「サロン」だったり、自分の内面を写す「鏡」「心の身体測定」

「心のビューティサロン」と言った意見、

「アートのウインドーショッピング」

「自分のモノサシ」「アートログ(アートの食べログ)」など

先生の話で出てきた話題が何度も交わされました。

「アートの覗き見部屋」「大人の屋根裏部屋」と言った意見も(笑)

 

 

 

 

 

 

≪感想≫

絵画や彫刻、アートを購入して身辺に置く、と言う発想は授業を受けるまでありませんでした。

生徒の皆さんが、アートに対しての意識が高くてびっくりしました。

(美術の歴史を研究していたり、福岡市美術館によく行かれていたり)

何を選択するか、身につけるか、部屋に置くか、は自分の感性を確認する行為だなぁ、と本当に思いました。

 

 

 

 

(ボランティアスタッフ 村井泰)


 

 

【今回の先生】 森田 俊一郎 Gallery MORYTA

 

福岡市中央区の通称けやき通りに1991年ギャラリーをオープンする。絵画や立体作品などの展覧会をメインに、Jazzなどのライブやトーク、詩の朗読会などさまざまな総合芸術を展開してきた。また一方でギャラリーを飛び出し、福岡アジア美術館オープニングイベント「オンバク・ヒタム」、佐賀県鹿島市にある酒蔵を利用した堀越千秋展など、これまでさまざまなイベントを手がける。最近では福岡市初のアートフェア「ART FAIR ASIA 2015 FUKUOKA」を有志とともに、天神西鉄ソラリアホテルにて開催し,3日間の会期中、国内外より約2200名の人を集めた。

 

 


 

【今回の教室】 Gallery MORYTA

 

ギャラリーという絵画や立体作品に囲まれた空間は刺激的で、ちょっとした緊張感に満ちている。ギャラリー空間には珍しく中央に大テーブルが横たわり、日頃アート好きな者たちがくつろいだり、話し合いの場ともなっている。アートという共通する価値観により、人や作品、人と人との出会いの場でもある。

住所 : 福岡市中央区赤坂3-9-28ロフティ赤坂2F