レポート日記
一覧に戻るミッションをクリアせよ!今しか入れない地下トンネルへ潜入捜査!
開催日:2016年06月25日
通常授業
梅雨真っ只中の6月の第4土曜日。
しかし、傘はいりません!
なぜかというと、今回の授業のキャンパスは地下トンネルだから!
「レインボープラン天神」をみなさんはご存知でしょうか?
「天神周辺地区下水道総合浸水対策緊急事業」
の通称であるこのレインボープラン天神は、
天神のまちを浸水から守るために行われている大事な事業工事です。
今回のキャンパスとなった「中部2号幹線」建設工事現場は、
長浜から赤坂を抜け警固まで伸びる雨水を貯留するための施設で、
大正通りの地下約30メートルの位置に直径約5メートルの雨水トンネルを
現在掘削しています。
(当授業が行われた6/23現在で全体のおよそ9割の地点まで掘削が終わっており、
7月中に貫通する予定です。)
テンジン大学お馴染みの水色の看板が工事現場の前に立つめずらしい風景を横目に、
参加者の皆さんが続々とキャンパスに到着。
4つのグループに分かれると、いよいよ授業が始まります。
今回の授業の先生は、福岡市道路下水道局のみなさま。
はじめに、代表して野口さんが現在進んでいる工事の状況や、
福岡市の下水道の現状を教えてくださいました。
身近にあって生活に欠かすことができない下水道。
しかしそのほとんどが地下に埋まっており、私たちの目に触れることはありません。
野口さんのお話を聞くうちに、
参加者のみなさんは下水道、そしてドボクの知らない世界に
吸い込まれていくようでした。
今回のミッションは地下トンネルに潜入し、
ちょうど現在掘削している最先端までいくこと!
そしてその写真をSNSでアップすること!
ヘルメットをかぶり、現場の担当者の皆さんに先導されていよいよ潜入開始!
地下30メートル、全長約1,300メートルの異空間に足を踏み入れます。
工事用エレベーターに乗り込み、トンネルの入り口へ。
普段は全く立ち入ることのない場所なだけに、
参加者のみなさんから歓声が上がりました。
そして、スマホやカメラでの写真撮影にも余念がありません!
いよいよ、現在掘削中の最先端に向けて歩き出します!
はじめは涼しかったトンネル内も、最先端に近づくにつれて気温もどんどん上昇。
ふと温度計を見るとなんと35度!アツいです!
無事終点に到着し、掘削の現場(シールド工法)を見学。
額に流れる汗をぬぐいながら、説明に耳を傾ける参加者の皆さんの姿が印象的でした。
お仕事をする上でお世辞にも良い環境とはいえない場所です。
しかし、そこには私たちのために汗を流して働いている人たちがいらっしゃいました。
来た道を引き返し、体調不良もなく参加者・スタッフ共に全員無事に帰還。
興奮覚めやらぬ雰囲気の中、授業はワークショップへと進んでいきます。
「地下トンネルに入ってどう思いましたか?」
「地下トンネルに入る前と何か変わりましたか?」
コーディネーターから投げかけられる疑問に対して
各グループで様々な感想や意見が飛び交い、付箋にペンを走らせていきます。
この授業を企画した意図を、コーディネーターを務めた光瀬さんはこう振り返ります。
「ドボクのイメージを変えたいと思った。」
ドボクの仕事は3K(きつい・きたない・きけん)といわれたこともあり、
私たちの中にもまだそのイメージが拭えていない人もいると思います。
実際に、私たちが想像する以上に大変なお仕事だと思います。
しかし、その現場は危険と隣り合わせでありながらも安全が第一に考えられ、
最近は女性のドボク従事者の方も増えているそうです。
そして何より、今回の授業のあいだ現場でお会いしたドボク関係者のみなさまは
私たちを笑顔で迎えてくださいました。
この授業を通じて、
コーディネーターの光瀬さんの想い、現場のみなさまの想いも
十分に参加者の皆さんに届いたのではないかと思います。
最後に一つの模造紙に、各グループの意見や感想を書き込んでいきます。
授業を受ける前 → トンネルを見学して → これからもっとよくするには
ドボクに対するイメージの変化と、これからどうすればよいのか。
様々な意見が挙げられましたが、実際に現場に潜入したからこそのアイデアであり、
得ることができた感想なのではないでしょうか。
最後に代表の野口さんには
熊本地震の下水道復旧支援で益城町へ訪れた際の様子について
写真とともにお話しいただきました。
福岡のまちの縁の下の力持ちのみなさんは、
お隣熊本でも住民のために働いていらっしゃいました。
また、「ドボクの現場からもイメージアップを図っているところです」、と野口さん。
Facebookでの情報発信や、学生の見学の受け入れなど、様々な取り組みを始めているそうです。
イメージアップのスタート!
この場にいたすべての人が、イメージアップの担い手です。
ドボクの皆さんに支えられている当たり前の日々に感謝しながら、
これからも生活していきたいですね!
(ボランティアスタッフ 秋元優介)
【今回の授業のコーディネーター】
光瀬 久美子
福岡生まれ福岡育ち。天神打ち水大作戦からgreenbirdの存在を知り、その繋がりで2013年からテンジン大学の生徒として参加。授業を通じて福岡の面白さを再発見し、楽しいだけでは物足りなかった日々を解消するためスタッフへ。参加する側から運営する側になるため日々奮闘中。
【今回の先生】
福岡市道路下水道局職員
福岡市では、これまでに記録的な集中豪雨により市内各所で甚大な浸水被害が発生した際に都市機能が集積する天神地区や博多駅周辺地区などでは家屋やビルなどが浸水するとともに地下空間にも雨水が流入し都市機能が一時的に麻痺するような被害をもたらした。この様な都市型水害から市民の安心・安全を守るため、雨水管渠やポンプ場などの雨水排水施設、雨水を貯留・浸透させる施設など、総合的な浸水対策事業を行っている。
<WEBサイト>
【今回の教室】
中部2号幹線建設工事現場
中部2号幹線とは 、天神のまちを浸水から守るために行われている「天神周辺地区下水道総合浸水対策緊急事業(通称:レインボープラン天神)」の主要な管渠の一つで、長浜から赤坂を抜け警固まで伸びる雨水を貯留するための施設である。この施設の建設には、シールド工法(トンネルを掘る工法)が採用されており、大正通りの地下約30mの位置に、地下鉄七隈線に匹敵する直径約5mの大断面で雨水トンネル工事が行われている。この工事が完成すると、雨水約37,000㎥(学校などの25mプール100杯分)を貯留することができ、天神のまちの浸水安全度を向上させることができる。
住所 : 福岡市中央区長浜3丁目7番地内
電話 : 092-725-4103(JV作業所)
授業内容につきましては、福岡テンジン大学までお問合せください。
■webサイト