レポート日記
一覧に戻る[課外授業] Art書に挑戦!あなたの「日本の心」を一文字に
開催日:2011年05月22日
コラボレーション授業
【今回の先生】 本田 蒼風 (Art書道家・アーティスト)
【今回の教室】 東長寺・大仏殿
みなさんは漢字の生まれたルーツを知っていますか?そのルーツを知り、想いを筆に乗せて自由に描く、それがArt書道です。今回はArt書道家として活躍されている本田蒼風先生をお迎えし、Art書道を楽しみながら文字の奥深さを感じる授業となりました。
「空海劇場」とのコラボ企画として開催された今回の授業。弘法大師・空海が唐から帰国し最初に創建したと言われる東長寺にて、授業が開催されました。
~空海と書道~
「空海ってどんなイメージですか?」
まずはこんな先生の一言から授業が始まりました。「教科書で見た」「すごい人」「密教」・・・。生徒の皆さんからイメージを引き出していきます。「弘法筆を選ばず」という諺があるほどに、「書道家」としても有名な空海。空海が開いた「真言宗」とは、文字の通り“真の言葉”を意味します。他の宗派より文字に込める思いが強く、空海の書には「オリジナリティーがある」と先生はおっしゃっていました。本田先生はそんな空海の書にふれ、空海を勉強し、卒業論文でも取り上げるほど、空海に深く惹かれていったそうです。
~文字のルーツに秘められた物語~
「“B”と“心”の違いってなんでしょう?」
次に、先生からこんな質問がされました。
“B”というローマ字は表音文字といい、それ自体は音を表すだけで意味をなしません。一方、“心”という文字は表意文字といい、一文字で意味を表しています。表意文字である漢字には一文字一文字に意味があり、そのルーツがあるそうです。
例えば、福岡の“福”。もともとは酒が満ちている酒樽を神様にお供えする様子から出来た漢字だそうです。酒で満ちた樽(=五穀豊穣)をみんなで分け合える・天の恵みを沢山頂けたということで「幸福」などのように使われるようになったとされています。
Art書道は、このように文字に秘められた物語を読み解き、その想いを感じるところから始まります。
~和紙と書道~
次に、書道には欠かせない道具、和紙についてのお話しです。本田先生は「古き良き日本文化と暮らす」をコンセプトにWasha Japanという活動も行っていらっしゃいます。
今回は四国で和紙職人として活躍されている、高岡さんにもお越し頂き、和紙の魅力についてお話し頂きました。授業後には高岡さんから素敵な和紙のプレゼントと、和紙で作られたコーヒーフィルターを使った美味しいコーヒーを頂きました。和紙は木目が細かく、コーヒーがまろやかな味に感じられました。伝統文化をこのように身近に感じながら活用する事が伝統の継承に繋がる、との思いでWasha Japanの活動なさっているのだそうです。
~Art書道に挑戦!~
後半は、この授業の目玉!
Art書道のワークショップです。先生からのアドバイスはこの3つ。
・半紙は表でも裏でも、横でも縦でも自由に!
・身体全体を使ってあなたの想いをのびのびと!
・上手い下手はありません!
筆を持つのは久しぶりという方が多く、みなさん最初は恐る恐る筆を持っていました。ここで先生の模範演技。空海に因み「空」の文字を書いて頂きました。まずは、目を閉じ文字のイメージを高めます。「空」は、広がる空間に上昇気流が一気に上がっている様子、貫く先がない程の広がりという意味をもって生まれた漢字だそうです。その物語に想いを重ね、筆を一気に走らせる本田先生…その姿はまさにアート!文章ではとても書き表せない程の美しさでした。
生徒さんも先生の演技を見た後には、のびのびと筆を使って、次々に素晴らしい作品を書いてらっしゃいました。
だるまのような形をした「福」
今にも走り出しそうな「旅」
にっこり笑ったような「空」
半紙をくしゃくしゃにした「波」
本当に皆さん素敵な作品ばかり。
一人一人に声をかけながら、作品に込められた想いや、文字のルーツについてお話しする先生。自分の作品について語る生徒さんの表情がとても生き生きしていて、楽しさがこちらまで伝わってくるようでした。
最後に、お気に入りの作品をポストカードに書いていただき、みんなで記念写真。個性豊かな素敵な作品と素敵な笑顔が出来上がりました。
(ボランティアスタッフ 河田 千種)