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レポート日記

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テンジン大ツーリズム1 『里山復活プロジェクト』

開催日:2011年05月29日

コラボレーション授業

【今回の先生】 片桐 慎 (しんくみ農園)山本 剛司 (安宅交流センター管理組合)

 

【今回の教室】 安宅交流センター

 

 

福岡テンジン大学始まって以来の、郊外へ行く「ツーリズム」第1弾。

しかし、前日の予報では台風接近ということで雨天も予想されたので、

事前に「行きたいという方のみでかまいません」と連絡、

結局、当日の朝に集まった11人の参加者で高速バスに乗り込み「後藤寺」へ向かいました。

 

今回の教室である「安宅交流センター」は田川市の中でも、農村部に位置する川崎町にあります。高速バスが到着した後藤寺バスセンターからは、川崎町を活性化させたいという有志たちが運転する車3台へ分かれて乗車、自分が乗ったのは今回の授業の先生でもある山本先生の車です。

 

 

田川ってどんなところ?

山本先生は田川出身のため、道中の「田川話」もおもしろい話が満載でした。

田川を含め「筑豊炭田」は明治以降の日本の近代化を支えた八幡製鉄所や、日本各地の石炭の需要を賄い、戦後まで日本一の石炭生産量を誇り、街の発展とともに人口も増加していきました。

 

しかし、エネルギー革命により主役は石炭から石油へ。それとともに筑豊炭田を背景とした重工業が衰退し、人口は最大期の半分ほどに低下していったのが田川市なのです。

 

 

そんな田川を

筑豊炭田で働く者やその家族の胃袋を支えていた農村部を

どうにかしたい

今回、授業コーディネーターを務め、自ら教壇に立ち、テンジン大学初のツーリズムを企画した男はそう言いました。そして、生まれ育った地ではなく、大都会東京からこの川崎町という農村部にやってきた片桐さんと出会います。そこから、この安宅交流センターが都心と田舎を繋ぐ交流の拠点として、今にいたります。

 

 

 

 

さて、到着早々に、緊張していた参加者全員が自己紹介をし、少しずつ緊張がほぐれていきます。そこで片桐先生からお話がありました。片桐先生は、都会で生まれ育ち、東京で働いていたものを一切合切辞めて、田舎暮らしに憧れて、たまたま縁のあったこの地に家族とやってきたのです。

2011年2月授業「脱都会!農業という生き方の選択 ~自給自足暮らしの全貌~」

 

日本全国、田舎と呼ばれる地域はまだまだ「地域コミュニティ」なるものが存在し、ここ川崎町でも消防団や、青年団があったそうですが、形骸化しており、代々続いてきた村人総動員の「お祭り」も、担い手不足に陥り、手間のかかる行事になっていたそうです。

 

しかし、片桐さんはよそ者として違う視点を地域に投げかけました。

都会からやってきた人にとっては「お祭り」はとても伝統があり、とても価値のある文化。そして、天日干しなどして手間をかけたコメ作りも、とても味がおいしくなり高く売れる、などのお話をしてくださいました。

 

 

里山へ出発!

少し、雨が降る中、みんな着替えて車に乗り込みます。片桐さんの管理する「しんくみ農園」の畑や、高齢化が進み畑や田の担い手がいなくなった耕作放棄地などを見学に行きました。

 

 

 

 

九州は60年ほど前に植林した山が多く、いたる所にスギやヒノキが生えていますが、輸入の木材の方が安くなるにつれ、日本の林業が衰退し、山を管理する人がいなくなったことから、成長の早い竹が森を壊していることも多くなりました。すると、昔まで「人が住んでいるところ」と「動物たちが棲んでいるところ」がクッキリと分かれていたものが、その境目がわからなくなり、年々イノシシやタヌキ、シカなどの被害が増えていくというのです。

 

 

ここは昔、棚田だった場所。今では草木が生え放題になっている。

 

 

今回の里山復活プロジェクトのメインとなるような場所を見学するツアーを終え、安宅交流センターに戻ってきて、片桐先生の奥さんが作ってくださった古代米と具だくさんのカレー、そして地元産の野菜サラダが用意されていました。

 

 

男性も女性も関係なく、みんなおかわりしていた姿が印象的でした。

 

 

午後は雨天でもあることから、室内で「スタードーム作り」の下準備です。ここから大学院生のミンミン先生の指導により、竹を均等に割るチームと、割った竹を鎌や鉈(なた)でキレイに整えていくチームに分かれ作業をしました。

→ スタードームとは

 

 

 

 

 

スタードームは次週の「サークル活動」へ持越しし、次は参加者みんなと、テンジン大学スタッフや先生たちも加わり、3つのグループに分かれて「今日見学をして気づいたこと」や、今後の「里山復活プロジェクトのサークル名」や、「やってみたいこと」などを話し合うワークショップを開催しました。

 

 

 

 

 

最後に各グループごとに発表しました。

 

 

●グループ1

サークル名の案「あたかん」

やってみたいこと:地域の人との交流や、お祭りへの参加。星の鑑賞会をしたい。

 

●グループ2

サークル名の案「地力コメニケーション」

やってみたいこと:全国で話題になるために、土のバクテリアを使って田んぼを電池にする社会実験。

 

●グループ3

サークル名の案「アタッカ」

やってみたいこと:家具づくり、ツリーハウス、地域の人の家へホームステイ。

 

 

最後に、福岡テンジン大学の学長からも意見を、と片桐先生から言われて、私岩永から感想と思ったことを発表しました。

 

<感想>

・この安宅の地は、外の人からだと非日常だが、内の人からだと日常。

 内の人がいかに外の人を「おもてなし」できるかがこれからの繋がりのカギになる。

・そのためには「内の人」を育てることも必要。

・内の人を育てるとは、外から人が来てくれることをビジネスとして地域にお金が落ちるようにできる人。

 そして地力がつくお祭りの担い手など文化を継承、発信していくこと。

 

<やってみたいこと>

・株主ならぬ、1口畑主や田主などをつくって、収穫や食が楽しめる仕組み

・安宅交流センター(元小学校)のグラウンドで運動会

・同じくグラウンドで、テントを張って集団キャンプ

・空き家などを、都市型コミュニティの別荘として貸し出す

 

 

ここで、台風も近づいてきていることから今回のツーリズム第一弾は終了となりました。

 

 

 

 

みんなをまた後藤寺バスセンターまで送っていただき、家路へとつき、この授業は終わりを迎えました。今後は、定期的にサークル活動として開催。8月や10月には、テンジン大学公式授業として、ツーリズム第二弾、第三弾も開催される予定です。これからの安宅交流センターを拠点とした「里山復活プロジェクト」は要チェックです!

 

 

(学長 岩永 真一)