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レポート日記

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[天神朝キャンパス] 日本の夏の伝統ファッション「浴衣」のイロハ

開催日:2011年07月20日

天神朝キャンパス

【今回の先生】 高倉 慶応 (蝶屋株式会社 代表取締役)

 

【今回の教室】 警固神社・神徳殿

 

 

【特別授業】 天神朝キャンパス

この授業は、天神を安心・安全・快適な街にしようと活動する「We Love 天神協議会」と一緒に進める特別授業です。天神の新たな朝の魅力を発掘するために始まりました。開催日は、毎月第3水曜日。出勤途中の方も、お休みの方も、天神の朝を楽しみませんか?

We Love 天神協議会 : http://welovetenjin.com/

 

 

 

 

台風の影響が残る悪天候の中、浴衣姿やスーツ姿を交えた学生さん21名とスタッフ関係者11名が早朝から警固神社の神徳殿に集まりました。皆さん靴を脱いで、畳の匂いの香る日本ならではの教室で、本日の朝キャンパススタートです!

 

 

本日の先生は、元銀行マン!今は呉服屋「蝶屋」の社長さんです。「浴衣」がファッションとして進化してきた背景と「浴衣」にまつわる日本の歴史についてお話して頂きます。

 

 

 

 

まずは、学生さん同士二人一組で「今日の授業のどんなところに興味を持ちましたか?」をテーマに自己紹介をして頂きました。早朝にも関わらず、学生さん達の話しは大盛り上がり!そんな活気ある雰囲気に囲まれながら、「浴衣のイロハ」はじまりはじまり。

 

 

■日本という国について

日本は、世界で一番「古い」国。世界でもっとも珍しく王朝が変わっていない国だそうです。日本そのものが博物館と言ってもいいほど特徴があり、それが日本の強みであり、文化の深みにつながっているのではないかと先生は考えています。ちなみに、2番目に古い国は「ベルギー」(日本よりは600年ほど新しい国だそうです)。

 

 

日本は地理的にも特徴があり、世界中のありとあらゆるものが偏西風により西から東へと移動し、文明も物流も文化も最後にたどりつくのが「日本」でした。そして加工の得意な日本人は、それらをもとに日本独特の文化をつくり上げていったと言われています。

 

 

 

 

■日本の文化について

日本の文化は大きく分けると3つあります。

 

①貴族文化

優雅で雅な皇室や貴族、神社を中心とする文化。この時代に和歌、神殿造り、十二単衣、門松、平仮名などが生まれました。

 

②武家文化

質実剛健な武家を中心とする文化。能、禅、茶道、武道、数寄屋造りなどがこの時代に生まれ、またいつ死ぬか分からないという過酷な時代でもあったため、宗教(死後の世界)も広がっていきました。

 

③町民文化

江戸時代に花開いたものが多い町民や農民の生活から発生した文化。歌舞伎、村祭り、盆踊りなどが生まれました。「浴衣」もこの時代に生まれたと考えられています。

 

 

■江戸時代の町民による衣類の文化

江戸時代は200年という長い間戦争のない、世界でも稀にみる「平和な時代」でした。そのため夜でも外を出歩けるようになり、風呂好きの日本人の湯上りに着る木綿の衣類「浴衣」として洒落を競うようになりました。殺菌効果のある藍を使用した藍染が多く、元禄時代(江戸初期)には染めの技法「友禅」が発明されました。「浴衣」は軽装着なので帯の実用的な織物として博多織が広まりました。また、着物の下に着る襦袢(じゅばん)の帯のシェアは博多織が100%近かったそうです。

 

 

■染物と織物(久留米絣について)

江戸時代の「浴衣」は、木綿の白生地に染料で絵柄をつける染物が主流でした。織物は糸生地に先に色を付け、縦糸と横糸を織り込んでいく技術で、絣(かすり)は柄のある織物として計算して織り込まないといけない高度な技術のことを指します。柄織物の起源はインドと言われており、東南アジアを経由し、琉球→九州→全国へと広がったそうです。明治初期に、久留米の井上伝さんという女性が絵画的な模様の絣を発明し、それを「久留米絣」というそうです。西郷隆盛の反乱「西南の役」のお土産として各地域の人が持ち帰ったことで全国へ広がったと言われています。

 

 

 

 

このように「浴衣」は庶民の間で広く着られるようになり、マーケットが広がったことでデザインの技術も進化し、ファッションの一部としても親しまれるようになりました。

 

 

日本の歴史と文明の発達と共に進化してきた「浴衣」、そして日本のすばらしい文化や技術を欧米のようにもっとブランディングをして世界に「メイド・イン・ジャパン」を発信していくべきだと先生は言われていました。

 

 

 

 

 

最後に学長も2004年より参加し、理事もつとめる福岡打ち水大作戦について説明。今年は福岡市・高島市長も記者会見も行い大々的に展開していくそうです。「浴衣」と「打ち水」は現代でも密接に繋がりを持っているのがいいですね。

→ 福岡打ち水大作戦WEBサイト

 

 

今回の授業を受けて「浴衣」はお洒落なファッションだけでなく、日本の特徴ある歴史とすばらしい技術を感じられる誇れる衣類だと改めて感じました。まだまだ暑い時期の続くこの夏に、日本人の知恵と技術の詰まった「浴衣」を着て日本の歴史について語りませんか?

 

(ボランティアスタッフ 曳地 由香)