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レポート日記

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[天神朝キャンパス] 江戸商人のリーダー達が築いた実践哲学に触れる

開催日:2011年08月17日

天神朝キャンパス

【今回の先生】 浜田 安代 (NPO法人江戸しぐさ福岡支部長)

 

【今回の教室】 COMMENT ALLEZ VOUS(コマンタレヴー)

 

 

【特別授業】 天神朝キャンパス

この授業は、天神を安心・安全・快適な街にしようと活動する「We Love 天神協議会」と一緒に進める特別授業です。天神の新たな朝の魅力を発掘するために始まりました。開催日は、毎月第3水曜日。出勤途中の方も、お休みの方も、天神の朝を楽しみませんか?

We Love 天神協議会 : http://welovetenjin.com/

 

 

 

 

■「江戸しぐさ」って聞いたことありますか?

260年以上もの間、戦争のない平和な時代が続いた江戸時代。そんな平和な時代を支えたのが「江戸しぐさ」という、江戸商人のリーダー達が築いた実践哲学があったそうです。

 

本日は、NPO法人江戸しぐさ福岡支部長の浜田安代先生を講師にお迎えして、

16名の生徒さんと「江戸しぐさ」のいきさつや江戸の子育てについて学びます。

 

まずは、お隣同士での自己紹介と、「普段、見知らぬ人に気遣いをしたことがありますか?」

というテーマについてお話していただきました。

 

 

 

 

お盆明けの静かな早朝が、皆さんの会話と笑顔で華やいだところで、本日の授業の始まりです。

 

 

■江戸の町づくり

1603年、家康が100年先を見越して江戸に拠点を置いたことから始まります。大阪・伊勢・近江商人のエリート1000人を引き連れて、八百八町の世界一の100万都市を作りあげました。人口の半分が商人という町です。

 

 

江戸商人のリーダー達は月に2回、「江戸講」という商売繁盛の勉強会を仕事を休んで行っていたそうです。共倒れをしないように、みんなで助け合うシステム。商人が”仕事を休んで”というところに心意気を感じますね。ちなみに子供連れでの参加だったようで、江戸の子供たちは小さい頃から自然と助け合いの心を学べていたようです。

 

 

 

 

そして、江戸には奉行所がたった4箇所しかなかったのにも関わらず、女性が夜道を歩けるほどに治安が良かったそう。「朝飯前」という言葉の通り朝食前に町をまわりながら住民に声をかけあったり、役所頼りにならずに住民自らパトロールを行っていたようです。ちなみにあの銭形平次もボランティアだったとか!?

犯罪の多い福岡は学ぶことが多そうですね。

 

 

■江戸しぐさ

江戸商人が大切にしたことは、とにかく目の前の人を大事にするということ。どんなに理不尽な相手でも、殺伐とならずにそこから何を学べるのか考えたそう。そして、相手を思う気持ちから生まれた行動が、「江戸しぐさ」です。しぐさとは、「仕草」ではなく「思草」と書き、思いやりと行動を意味しているそうです。

 

 

まずは、ほんの一部をご紹介。

 

肩ひき・・・すれ違うときに、内側の肩をさっと後ろに引いて、互いにぶつからないようにする

傘かしげ・・・傘と傘がぶつかったり雫がかかったりしないよう、相手と反対側にスッと傘を傾ける

こぶし腰うかせ・・・乗り合い舟で腰の両側にこぶしをついて軽く腰を浮かせ、少しずつ幅を詰めながら1人分の空間をつくる

うかつあやまり・・・たとえば人に足を踏まれた時、踏まれた人も「こちらこそうっかりしまして」の気持でいる

 

 

本日は、肩ひきを2人の生徒さんに実践していただきました。

初めてのことでちょっとぎこちなかったかな(笑)

2度目はとても自然にできていました。

 

 

 

 

する人もされる人も気持ちいい。単なるマナーではなく、相手に対する思いやりが自然と溢れている町づくり。福岡でもできたらいいなぁ。

 

 

■江戸の子育て

「江戸しぐさ」は、「繁盛しぐさ」や「商人しぐさ」とも言われるそうです。商人として自立できるように、年齢毎の目標を設けた子育法がありました。

 

 

 

 

「三つ心」・・・3歳までは感性を磨く時期。愛情をたっぷり注いでこころの糸をしっかり張ります。

「六つ躾」・・・6歳までには、躾糸をしっかり。相手を思いやる身のこなしがスムーズにできるように。

「九つ言葉」・・・9歳までには「世辞」が言えるように。今のお世辞とは違い、大人の言葉づかい。相手が気持よくなる言葉です。

「十二文」・・・12歳までに、請求書や納品書、苦情処理書などが一通り書けるように。親の代わりをいつでも務められるように。

「十五理」・・・15歳には自然の原理や物の道理を暗記でなく理解できるように。

 

 

商人としての商売のノウハウを教えるのではなく、感性や思いやりの心、人と人との付き合い方を大事にしていたんですね。結果、それが260年以上の平和と繁栄をもたらした事実。競争ではなく共生の哲学。本来は口承文化で書物に残っていなかった「江戸しぐさ」。

 

 

浜田先生の師匠である越川禮子さんが、伝承者の方の説得し続けた結果、出版に成功。浜田先生は越川禮子さんから九州で広める許可をとられたそうです。初めて耳にした「江戸しぐさ」でしたが、もっともっと深く知りたいと思いました。

 

 

 

 

出勤前に参加される方が多い朝キャンパスでは、いつも終わりがけにバタバタとお帰りになる生徒さんが多い中、本日は時間が押しても残られる方がほとんどでした。(中には会社に遅刻宣言をされてきた方まで!)それだけ皆さんにも「江戸しぐさ」に興味をもっていただけたということでしょうか?

 

 

本日参加された生徒さんやスタッフから「江戸しぐさ」の精神が、この福岡でも広まっていくといいなぁ。まずは自分自身から。

 

(ボランティアスタッフ 江頭 聖子)