レポート日記
一覧に戻る日本酒が教えてくれる!?組織経営のヒント
開催日:2022年04月22日
通常授業
天神を飛び出し、佐賀・基山にある酒蔵へ向かいました。今回の授業の場所は、「基峰鶴」など飲み口の優しく柔らかいお酒を造る基山商店です。
教室はなんと酒蔵の中。静寂と日本酒の香りが参加者を迎えてくれました。
最初のお話は増田雅人さん。日本酒の造り手と消費者をつなげる「オンライン酒蔵巡り」を運営しています。30~40蔵を実施してきた中で共通していたのは、酒造りでは発酵過程において微生物がきちんと働く環境づくりが大切だということ。増田さんの会社では「スタッフが気持ちよく働けるように考えていることから酒造りは経営に似ている」と気付いたそうです。
その環境づくりのために、経営者はスタッフの今の状態を理解する必要があります。そこで今回、ツール「人生の輪」を用いて自分と対話することを体験、感情・健康・人間関係・お金・キャリア・時間・物理的環境・人生全般の8つの項目について今の状態を点数化してレーダーチャートにしました。
参加者は、そのシートに書き込みます。仕事や育児など時間に縛られているから時間の点数が低い、転職したてで人間関係の点数が低い、どの項目においても満足に感じていて点数が高いなど…。グループ内で共有後、各自、10点満点の状態とはどういうものか考えました。
次は日本酒との対話です。基山商店杜氏・小森賢一郎さんより日本酒について説明の後、4種類のお酒を試飲しました。
単なる試飲ではありません。お酒の味わいを季節・人に例え、誰と飲むかについて考え、再びシートに書き込みます。参加者は真剣な表情でお酒を口に運んでいました。
グループごとに発表してもらいました。特に擬人化において絶妙な職業や有名人の例えには杜氏からも感嘆の声があがり、大変盛り上がりました。
授業後、希望者にはご厚意で蔵見学、種麹や機械の他、発酵中のタンクを覗かせていただき(華やかできれいな香り…!)、貴重な経験となりました。
蔵は働く人の負担軽減や、最近の気温上昇に伴う醸造環境検討など変化し続けているそうです。杜氏の「人にやさしく 酒にやさしく」という言葉には、まさに環境づくりを大切にしている姿勢が伺えました。
今回の授業では、特に前半の「人生の輪」で今の状態の評価後に理想像について改めて考えました。酒造りは逆算の考え方、つまりゴール(どのようなお酒を造りたいか)を定めてから必要な各要素を積み上げて進めるとのこと。
「環境づくりと最終ゴールが大事、そこからアクションを起こす」という参加者の気づきの通り、お酒を通して人生や組織を見直す授業となりました。
<この授業のスタッフ>
Report 濱砂順子
Photo 竹内信子
Staff 池田杏美、中牟田康
【今回の授業のコーディネーター】
森 彩夏
1995年、福岡市早良区生まれ。
【今回の先生】
増田 雅人
自身のオーストラリア留学の経験から「人生が変わる出逢いを創る」ことをミッションに福岡大学4年次に起業。以来、地方観光情報冊子作成や地方創生のプロモーション関係の事業を行う。新型コロナで一時9割の売上減少を経験し、今後の事業について葛藤する中、2020年12月より、「大人の酒蔵留学」をコンセプトに日本酒文化を楽しく広める事業を開始。利酒師の資格を取得し、「お酒の味わいだけでなく、つくり手の人柄や想いまで味わってもらう」ことをビジョンに試行錯誤の毎日を送っている。
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