レポート日記
一覧に戻る大牟田まちあるき~DIYでつくるまちづくりの”今”~
開催日:2023年12月16日
通常授業
天神から西鉄急行電車で1時間。
新栄町駅~大牟田駅の一駅間のまちあるきです。
まず目に飛び込んで来るのが駅前のシャッター街。
筋金入りのシャッター街で、参加者の大牟田在住女子高生は「私が産まれた時からシャッター街です」と。一度閉まったシャッターは当時の空気を閉じ込めているのか、過去の賑わいを感じて今の静けさが切ないです。
天神ビックバンを横目に電車に揺られてやってきた私には、大牟田の街は非日常でした。
「精巧に作られた映画のセット」の、ようで。
★懐かしい昭和レトロな建物
★人とすれ違わない異世界感
★廃墟廃墟した廃墟(怒らないで)
★街が裕福だった香りが残る華美装飾の街灯やモニュメント
新手のテーマパークとして勝手に大興奮‼
USJ?太秦?
いいえ。
★OOMUTA★
それも本物だから伝わってくる空気が違います。
商店街を抜けるとシャッター街と同様に空き家も目立ちます。
その一つだった「元美容室・美スズ」を見学しました。
中でお話をして下さったのは2人の先生。実は先ほど通った商店街の中に息を吹き返しているお店が10数件ありました。仕掛け人は今日の先生。
冨山博史 さん
大牟田ビンテージのまち株式会社
大牟田の街のゴミ拾いに始まり仲間を巻き込んでの街作りをされています。
*参考記事:まちづくりのプロに聞く!まちづくりを加速させる「仲間」のつくり方
吉浦隆紀 さん
福岡市内で不動産業をされています。
古いマンションに「DIYできるマンション」として価値をつけた人気の物件を管理プロデュース。
*参考記事:伝説のDIY可賃貸「吉浦ビル」誕生から10年、入居者をまき込みまちづくりが進行中!
元空き家の美容室美スズはレトロな外観を残し、中はリノベーションされていてとてもオシャレです。
何のお店と聞かれると説明が難しいですが勝手にコンセプトをつけると「繋がるお店」。
1階と2階で仕様、用途が異なります。
・1階/リノベーション済
「マルシェのお店gosenfu」
キッチンをシェア借ししてカフェ営業等
棚をシェア借してハンドメイド作品を販売等
マルシェの実店舗として、1つのお店でたくさんのお店が楽しめちゃいます。
・2階/リノベーション未
6畳の部屋を各貸出
自由にDIYが可能
DIYの道具や材料は吉浦さんが負担、やり方まで指導してくれ、自分で部屋を作り上げられます。
今入居しているのは事務所やお洒落な洋服屋さん等用途は様々でした。
1階も2階も自由度が高くて面白かったです。参加者の中に早速吉浦さんと名刺交換をしている人もいらっしゃいました。皆さんのワクワクが伝わってきます。
その後はリノベーションされたカフェや今後手がける予定の物件を見学して大牟田駅へ到着。駅前の広場にはレトロな電車がカフェとして運用されてトレードマークとなっていました。
なんてかわいいんだ!!
こちらも富山さんの手がけた街づくりの一環。
古くなったモノ。
解体するにもお金がかかります。
しかし古い事に価値を見出し、通常であれば内装工事はコストでしかいはずなのにソコを面白さや愛着といった価値に変換してあり驚きました。大牟田のまちづくりは、経済成長や人口等パワーで成り立っていたモノを仕組み、繋がりで再構築し、人間臭さや温かみが魅力的です。
このリノベーションにチャレンジしやすいのには理由があります。
福岡市と比べると不動産価格が全く違うので古い建物をリーズナブルに購入できるからです。
「天神駅/西鉄福岡駅」
坪単価は1167万9752円/坪、前年比は+9.62%の上昇
「大牟田駅」
坪単価は8万8890円/坪で過去最安値であり、前年比-0.43%の下降
(土地代DETA2023より)
大牟田は石炭の街として栄え、人口は1970年代の20万人がピーク。そこから減少し今は半分の10万人。大牟田に起こっている事は今後全国にも起こる現象です。
日本の超高齢化と人口減少は進んでおり2030年には全国の空き家率が30%だと言われています。
大牟田のチャレンジは今後日本中の参考になるかもしれません。
コンパクトシティ福岡。
都会と自然だけじゃなくレトロまでコンパクトに含まれているなんて知らなかったです。レトロの何が魅力なのかと考えてみて、私にとっては「文化を感じる」事。大牟田のワクワク感に東京の丸の内のようなオシャレの片鱗を感じたくなっています。どなたかの言葉に「レトロは急げ」と、ありました。
大牟田の今後が楽しみなのはもちろんですが、今のナチュラルレトロな大牟田も是非お勧めです。
<STAFF>
Report:岩佐 ゆかり
Photo:丸山 未来
Staff:佐藤 哲郎、戸次 まゆみ
【今回の授業のコーディネーター】
【今回の教室】
大牟田のまち
福岡市の西鉄天神大牟田線の特急で約1時間、熊本県との県境に位置する大牟田市。明治期に石炭産業が興り、三池炭鉱の石炭資源を背景とした石炭化学工業で栄え、1959年の最盛期には人口20万人を超える都市に。現在は中心市街地活性化に向けて、新栄町駅前の再開発計画や、大牟田わかもの会議などの産業振興を行っている。2021年、大牟田駅西口広場に路面電車のカフェがオープンし、駅前の賑わいを演出し新たなスポットとなっている。
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