レポート日記
一覧に戻るゲームで体験!あなたの“無意識の思い込み“に出会おう!
開催日:2024年10月26日
通常授業
教室のQhubに集まったのは、12人の参加者。
チェックインでは、「異文化交流」の頻度について語り合います。
「日本人との交流が多くほとんどゼロ」「自分以外はみんな異文化!」など、ここから既に多様性を感じられる時間です。
詳しくは伏せますが…この日のメインワークは、トランプを使ったカードゲーム。
簡単なルールの説明を受け、全員で「黙って」練習ゲームスタート。
ゲームの流れがわかったところで、ひとりひとりに、新たな追加ルールの書かれた紙が配られ…
黙読したら、引き続き「黙って」、本番ゲームスタートです!
1ゲーム終わるごとに、席替えをして新たにゲームを行います。
すると2回目以降のゲームでは、首をかしげる人、手が止まる人、身振り手振りで何かを主張する人などが出始め…先程までと何かが違う様子…
それぞれ頭の上に「?」マークを浮かべたまま、ゲームの時間は終了します。
コーディネーターのあかねさんからゲームの種明かしがなされ、参加者はやっとその「?」の理由に気づきます。
このゲームを通じて参加者が体験したのは、少数派の気持ちや他者との【違い】。
ようやく声を出すことを解禁され、そのとき自分や相手に何が起こっていたかを語り合います。
ゲーム中の不穏な空気と、種明かし後のほっとした表情、写真から伝わるでしょうか…!
「?」となりながら、【違い】に気づけた人とそうでない人もいました。
また、【違い】に気づいたときに、自分のやり方を貫いたり、周りに合わせたり、相手のやり方を指摘したり…と、反応も人それぞれ。
言葉を発することができない環境での【違い】との遭遇は、まるで異なる言語をもつ文化の人との出会いのような体験となりました。
ここで、重要なキーワードが登場します。
「アンコンシャス・バイアス」=無意識の思い込みや偏見
ゲーム中、自分との【違い】を感じたときに、「この人は間違っている!」という思い込みをしませんでしたか?相手のことを理解しようとしましたか?という問いかけに、ハッとした人も多かったはず。
数々の生きた事例を聞かせてくれたのが、この日の先生である古泉さん。
印象に残ったのは、かつて青年海外協力隊としてエチオピアで活動していた頃の、「文字」に関する苦い思い出。
エチオピアの公用語であるアムハラ語を勉強し、文字も書けるようになった古泉さん。
村落部のとあるグループにて、模造紙にアムハラ語を筆記し会議を進めますが…どうも議論が盛り上がらない
エチオピアから帰国してしばらく経った頃、あの場にいたメンバーのほとんどは義務教育を受けていない世代の女性たちで、もしかしたら彼女たちには模造紙の文字が読めていなかったのではないか…と気づき、古泉さんは深く反省したと言います。
教育を受けることで母国語も外国語も学び習得することができる環境の日本で生まれ育った古泉さんは、「エチオピア人なら、アムハラ語の文字は読み書きできるだろう」と無意識の思い込みをしていたのかもしれません。
ゲームでの体験やここまでの話を受け、身の周りにあるアンコンシャス・バイアス事例を下敷きに、参加者同士で言葉を交わします。
同じ事例を目にしても、「私はAさんの立場に近い」「自分はBさんのように考えてしまう」と、置かれた状況によって見方が変わることも感じられました。
では、アンコンシャス・バイアスに対して、私たちはどうしたらいいのか?
あかねさんがいくつかのアイディアを提起してくれました。
例えば、「【男の子は】戦隊ものが好きだ」「【高齢者は】パソコンを使えない」と言った思い込みに潜む「大きな主語」に気を付けてみるだけでも、とらえ方は変わってくるはず。
アンコンシャス・バイアスは、なくすことはできません。
でも、この日の体験を通じて、参加者のアンコンシャス・バイアスへの気づきの感度が高くなり、相手を知ろうとする気持ちが芽生えるきっかけが生まれたような気がします。
Report みね せりか
Photo みかわ よしき
Staff 細川 善弘
【今回の授業のコーディネーター】
近藤 茜
久留米市出身。美容師を経験し、九州造形短大(現:九州産業大学造形短期大学部)へ入学。短大卒業後は、印刷会社勤務等を経て、株式会社ミライロに入社。障害のある方との向き合い方を伝える研修やコンテンツの企画運営を行う。2024年6月に独立。グラフィックレコーディングやイラストを通して、伝えたい思いや感じたことを視覚的に表すことを行っている。趣味はブラインドランナーの伴走ボランティアや手話の勉強。福岡の街に恩返しをすべく、様々なことに挑戦する日々を送る。
<WEBサイト>
ポートフォリオ
https://oekakiakane.myportfolio.com/
インスタグラム
https://www.instagram.com/oekakiakane
【今回の先生】
古泉 志保
マーケティングリサーチ会社等に勤務した後、青年海外協力隊としてエチオピアで活動。帰国後は、国内の国際協力系のNPOに勤務し、異文化理解講座等を開催。ガボンやベトナムでの在住経験を経て、現在は佐賀県庁の地域おこし協力隊としてNPO法人地球市民の会に配属。ウクライナ避難民受入事業やSDGs講演等に従事。“ご近所の外国人と仲良くなろう”企画として、「世界のお茶会」を不定期に開催中。
【今回の教室】
QHub 九州しあわせ共創Hub
九州博報堂が、社会課題の解決に向け多様なステークホルダーが垣根を越えてアイデアを出し合い、“共創”することで「地域の共創にドライブをかける場をつくりたい」と、2023年1月に社内の一角に設けたスペース。九州博報堂は、2020年に西日本新聞の子会社であった西広が博報堂九州支社と事業統合して社名変更した広告会社。
住所:福岡市中央区天神1-4-1 西日本新聞会館ビル 14階
※国体道路沿のビルになります。
※博多大丸の入口の横に、ビルの入口があります。
※14Fの九州博報堂のオフィス内になります。
■WEBサイト
■マップ