フクオカテンジン大学

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福岡の街がキャンパスになる、福岡テンジン大学開校!

開催日:2010年09月23日

コラボレーション授業

【今回の先生】 森田 真生(数学家) 、 深町健二郎(音楽プロデューサー) 

        左京 泰明(シブヤ大学学長) 、 田北雅裕(九州大学大学院・専任講師)

 

【今回の教室】 西鉄ホール

 

 

SMAPの「世界に一つだけの花」じゃないけど、一人ひとりの個性を大切に、と言われて久しい昨今。勉強やスポーツなど目でわかりやすい才能が良しとされていた時代から、各々が持つ才能へ、世の中のものさしが少しずつ変化をしているように思います。

 

2010年9月23日(祝)。参加者213名。

この日は、いよいよ待ちに待った福岡テンジン大学の開校式。それぞれの役割で右往左往しているスタッフたちを横目に、岩永学長は朝から思いっきり緊張している様子(笑)。それもそのはず、4年もの前から学長がずっと温めてきたプロジェクトが、ようやく日の目を見ようとしているんです!

 

 

 

 

 

 

式が始まると吉田市長からご挨拶をいただき(市長、ありがとうございました!)、続いて舞台に登場したのは、第1部・特別授業の講師であり、今夏、糸島に数学道場を構えた数学家の森田真生さんと音楽プロデューサーの深町健二郎さん。「大人のための数学 ~学ぶことは生きること~」をテーマにトークライブを行ないました。

 

 

江戸時代のベストセラー本からお坊さんの話まで、“数学”を切り口に次々と展開する軽快なトーク。中でも森田さんご自身の出身校であり、日本の最高学府である東京大学に世間の価値観をなぞらえて「例えば宇宙工学の研究など、いわゆるメジャーでわかりやすい知性の象徴的な存在が東大だと思う。だけど構築してきた日本の教育システムに綻びが見え始めた今、メジャーからマイノリティの才能に目を向ける時代になってきたと思います」と話していたのが印象的でした。

 

「細やかなニーズにも対応できるようになった今の時代だからこそ、才能のニーズにも対応できる場所ができてほしい」「それを福岡テンジン大学で実現したいよね」と和やかに語る深町さんと森田さん。そのためには自分が何をしたいのかベクトルを定め、自分の持っている長所は何なのか、棚卸しすることが必要なのだと思いました。

 

“役に立つから学ぼう”ではなく、“面白そうだから学んでみたい”。そんなわくわく感のある学びの文化が福岡に根づいたら最高だな。そう思いながら聞いていると「例えば、ごみ袋にごみを詰めるのが達人的に上手な近所のおばさんがいるとするよね。その人に上手なごみの詰め方をレクチャーしてもらうとか、面白そうじゃない?」と森田さんが話せば、「『3軒隣の小林さんちの奥さんが、次の授業で先生をするらしいわよ』みたいな(笑)」と深町さん。歯切れの良いアップテンポな会話で、終始みんなを盛り上げてくれました。

 

 

そして第2部の特別授業はシブヤ大学の左京学長をお招きして、福岡テンジン大学のアドバイザー田北さんと、我らが岩永学長によるトークセッション。

 

シブヤ大学といえば、この福岡テンジン大学の姉妹校であり、全国に6カ所ある街づくりプロジェクト大学のモデル校となった学校。いわゆるエリートコースを歩んでいた左京さんが会社を辞めてまで、なぜシブヤ大学を創りたいと思ったのか。人や企業と街を結びつける難しさを、立ち上げから現在に至るまでのエピソードを交えて語ってくれました。

 

講義の後は質問タイム。

「シブヤ大学ができて渋谷の街はどう変わったんですか?」。

そんな生徒の問いに対して、「区と学生が、新しく作る公園ついて一緒に考えたり、企業が街の発展のために何ができるのか思案を巡らすなど、街づくりに関わる人が増えました」と左京さん。

 

街が変わるというと、ランドマークの登場や新たな交通網の発達など、わたしたちは目に見えるものを連想しがちだけど、ネットワークを作ることで生まれてくる仕組みってきっとあるはず。観光資源もなく、産業都市としても人口の割合から見ても下降線を辿っていて、福岡の未来が危ないと叫ばれている今、例えば50年後、街はどうなっているか考えたことはあるだろうか?未来は今を生きるわたしたち一人ひとりが選び取り、積み重ねることで、形になっていく。

 

福岡の資源は人だと話す岩永学長。

「福岡テンジン大学に参加することで、仲間が増える。友達や知り合いが増えると人に観られている意識が自然と働く。その結果、マナーを守ろうとポイ捨てをしなくなったり、しいては犯罪が起こりにくくなる街になるんじゃないかと本気で思っています」とこのプロジェクトに懸ける想いを伝えました。

 

一人ひとりの個性が街をつくる。

違う価値観を持つ人同士が接することで、新たなや価値観やコミュニティが生まれる。自分発信型の街のプロデューサーがキャンパス内に生まれることを願って。人前に出るのが苦手な人に対しては、そっと背中を押してあげられる、そんな場所を創っていきたい。

 

「福岡を世界で一番魅力的な街にする」というスローガンを掲げて、福岡テンジン大学いよいよ開校です。

 

 

(ボランティアスタッフ 原口可奈子)