レポート日記
一覧に戻る一杯のおいしいコーヒーから語られる世界の舞台裏
開催日:2013年04月27日
通常授業
現在の消費社会の中で、私たちは消費するもの(商品)の本質や裏側が見えなくなっていることも多々あります。
そんなことに改めて気づかされた、そんな授業でした。
今回は、コーヒーを題材にして商品の向こう側にある世界を考えてみました。
先生は、現地に直接足を運んでコーヒーの買い付けを行っている、
あだち珈琲 代表の安達和宏さんです。
コーヒーの発祥のお話や産地について説明して頂き、歴史的な背景も踏まえて
「ダイレクトトレード」(直接取引)についてお話して下さいました。
アメリカでは1960年代にコーヒーを一番飲んでいたそうですが、その後次第に需要は低下していったとのこと。
それは品質の低下によるそうです。
背景としては、卸・小売業者から焙煎業者への「安くしてくれ」との圧力があるなど価格競争が起き、
生産者は価格を抑えるため原料自体にまで手を付けるようになり、品質の低下、
味の低下につながったのです。
しかし業界では「これではいかん!」、「良いものは良いものとして評価して売っていこう!」と動き始めました。
成果として出始めたのは2000年代になってから、ようやく。生産者の生活向上のプロジェクトも実施されました。
高くても良いコーヒーは売れる。そうすると生産者も潤う。
現在では、COP(cup of excellence)という品評会で評価して順位を付けているそうです。
現地の農園やそこで働く人たちの作業の様子を写真を交えて説明して下さる安達先生。
「おいしいコーヒーはこの方たちのおかげ。小さな子どももいる。その子たちが学校に行って、
自分でお金を稼ぐことができるようになってほしい。だから現地に行ってダイレクトで買い付けして、
良いものは良いという評価で購入したい。ダイレクトでないと買う方は少しでも安さを求め、
売る方も悪い豆が入っていようと見過ごしてしまう。良いものを飲んでもらって喜んでもらい、
そしてその対価をもらう。それが大事です」
と語ってくれました。
さらに安達先生は、コーヒーには「有機JAS認証コーヒー」(認定を受けた農場で栽培し工程管理を徹底した
有機コーヒー)や「フェアトレード認証コーヒー」などがあるが、有機栽培だからおいしいとか
フェアトレードだからおいしいとは限らないとおっしゃいました。
自分の目で見て、自分の舌で判断してもらいたいと。
先生のお話を聞いて、グループディスカッションです。
先生のお話の感想とこれからの消費について。
あだち珈琲より参加者にコーヒーがふるまわれ、良い香りが漂う中みなさん熱心に語り合いました。
グループ発表ではそれぞれ次のような気づきや意見が発表されました。
<気づいたこと>
・商品の裏側を知ることの大事さ
・Face to faceの大事さ(生産者と購入者、消費者)
・良いものは良いものとして適正価格で買うことの必要性
・想いの循環がある(生産者は購入業者や消費者を想い、購入業者や消費者は生産者を想う)
・「ダイレクトトレード」(直接取引)という言葉そのものを初めて知った
・フェアトレードが本質を見えなくしているのかもしれない
<これから>
・バッググランドを見つめて買い物をしたい
・生産者の顔を見るようにしたい
・フェアトレードについて正しく知りたい
・価格ありきではなく商品の中身を見ていきたい
・良いものを、感動できるものを選んでいきたい
・商品のストーリーをたどっていくことをやりたい
・商品に愛情を持ちたい
・“もの”を感じることを大切にしたい
みなさん、短い時間でも本当にたくさんの気づきがあったようです。
最後に、先生より。
「自分がいつも想っていることを各グループで話してもらえて嬉しかったです。こういった場をつくることや
話していくことを企業としても、個人としても継続していきたいです。そして、発表の中であった
“生産者と消費者のカッピング(テイスティング)”はぜひやりたいと思っているので、
実現に向けて頑張っていきたいです」
最後に全員で集合写真です。
商品には必ず背景(ストーリー)があること、自分の目で見ること、良いものは良いものとして評価すること、
そして商品(もの)を通して生産者とそれを購入する人、消費する人がつながることの大切さを学んだ授業でした。
(ボランティアスタッフ 三根一晃)
【今回の授業コーディネーター】
江頭 七央子
【今回の先生】
【今回の教室】
住所 : 福岡市中央区天神2-2-43 ソラリアプラザ6F