レポート日記
一覧に戻る本と言葉とハイボール ~BARで語り合う深読み読書術~
開催日:2013年05月25日
通常授業
5月25日土曜日、16:00。外は既に初夏の陽気でまだ日が差していますが、今回の授業の教室は、夜を思わせる落ち着いた雰囲気のBAR。国体道路沿いにある、「AFTER THE RAIN」にお邪魔しました。
1979年創業で、本棚には1000冊以上の本が並ぶ、この授業にピッタリのお店です。
この授業タイトルを見て集まった、本好き、ハイボール好き?な生徒の皆さんがグループに分かれ、まずはアイスブレイク。お好きなドリンクを片手に、事前に用意していただいた「課題」を披露し合い、自己紹介をしていただきました。
課題は、これまでの人生で最も心に残った言葉、文章表現を持ち寄ること。格言のような言葉や、小説に出てきた対話文等、いろいろなタイプの言葉が紹介されました。
それからなぜその言葉を選んだかという経緯の話に派生し、それぞれの生活についてまで話が及んでいます。
最初から話が尽きない様子ですが、ここで先生のご紹介。
今回は(株)チカラの元木哲三先生にお越しいただきました。元木先生は雑誌社に入社した後、
独立してライターとして活動されるようになりました。
先生は「ライターをしています」と言うだけで「すごいですね」と言われ、理由を問うと
「だって私、文章書けないんです」と返ってくるのだそう。
でも書けないわけがない!だって喋ってるんだから!
あまりに「自分は文章が書けない」と思い込んでいる人が多いことに気付き、「文章の学校」を立ち上げられました。
書くこと=読むことと、元木先生は仰います。「うたを詠む」と言いますが、これって詩を書くことですもんね。
書けるようになりたければたくさん読むことが、深く読めるようになりたければたくさん書くことが一番なのだそうです。
また、普段何気なく会話をしている際、私たちは「意味」のやり取りをしているように思っていますが、
実は「メタメッセージ」のやり取りをしているとのこと。
メタメッセージ、ご存知ではない方が多いと思います。
例えば、「今日なんで来られました?」と尋ねられた場合、文字だけで受け取ると「電車で」という方と
「授業タイトルに惹かれて」という方、両方いておかしくありません。しかし実際は、相手の表情や、声のトーン、
その会話の前後の文脈等を通して、相手が何を答えてほしいのかを読み取った上で質問に答えているのです。
興味深いお話を伺ったところで、今日のワークに入りました。
内容は、歌を読んでその歌の背景を考えるというもの。その歌の主人公の属性や性別、年齢、職業、境遇、物語の背景やこの歌が詠まれた瞬間のシーン等を、細かく自由に描写していくのです。
題材となった歌がこちら。
わたしのようなものでも大事にしてくださる
あなたといるうちに いつか死にたい
なかなか過激な歌です。
これを読み、この歌の背景を各々考え、発表してもらいました。
性別を始め、設定の、内容の全く違うストーリーができています。中には人ではなく物が主人公の話を考えられた方も!
皆さん他の方の発表を聞いては「お~!」としきりに感心していらっしゃいました。
(ちなみに私もこっそりストーリーを考えていましたが、暗ーい話ができていたので皆さんの美しいお話に感心していました。。)
読んだ人数分、ストーリーが「書かれて」いきます。
「皆さんこんなに読み込める、ということは書けるってことですよ!」と先生。
なるほど、確かに「読む」=「書く」ですね。
最後に先生からまとめの言葉。
文章が苦手、と言う割りに修正を入れられると怒る人がいます。これは書いたものが自分の分身のようになってしまっているんですね。
しかし客観性を持って、冷静に書いたものを見つめられるようになれば、より伝わる文章に仕上げることができます。
また、決してネガティブな言葉は書かないでください。今ネット上で匿名の、人を傷つける文章があふれていますが、
発信した言葉は必ず返ってくるもの。マイナスな言葉を発するのはやめましょう。
本が好きで、普段からよく文章に触れている方が多くいらっしゃったと思いますが、一味違った読み方ができた時間だったのではないでしょうか。
もう一度好きな作家さんの本を読んでみてください。本当は何を読ませようとしていたのでしょうか…?
(ボランティアスタッフ 森部 友梨)
【今回の授業コーディネーター】
【今回の先生】
【今回の教室】
住所 : 福岡市中央区今泉2-5-24 権藤ビル1F奥