レポート日記
一覧に戻る星空散策 ~想い語り~
開催日:2013年10月26日
通常授業
10月26日快晴、今日の教室は西区今津にある、
海沿いの洋食屋「プカプカキッチン」さんです。
波の音が響いてくる中、続々と生徒さんが集まります。
今日の先生は
福岡工業大学 教授の田中さんと、
有限会社QPS研究所 開発担当の大西さんです。
○まずは、田中さんが手がけられた「にわか衛星」が
福岡の地元情報番組に特集された際の映像を見ていきます。
衛星を作ろうと思ったきっかけは、
以前「人生で何かやり残した事は無かったか」と考えたとき、
宇宙の事をやりたいと思われたからだそうです。
みんなを笑顔にするように、衛星は博多の伝統芸能である「にわか」と名付けられ、
開発チームの学生さんや研究中の様子が放送されていました。
田中さんは昔、彗星を見たことから宇宙に興味を持ち、
アマチュア無線やアニメ「アトム」、映画「禁断の惑星」や「宇宙の旅」(小説・映画)などの影響で
強く惹かれていったのだそうです。
○その後、生徒の皆さんで自己紹介と、どうして今日来たのかを
テーブルごとに話していきました。
授業テーマの「星空」を皮切りに昔の思い出や、日々の思いが溢れ出すように
言葉が飛び交い、皆さん早くも語りモードに入っているようでした。
○それから改めて田中さんに、「にわか衛星」ついてのお話を伺います。
始まりはおととし2011年の春、国際宇宙ステーションの
小型衛星プロジェクトに応募、選出されたことからでした。
プレゼンテーションの場では「ニワカって何?」との問いに、
その場で衛星の最後までを、博多弁の「にわか」にのせて実演されたそうです。
それから翌年2011年6月、衛星をJAXAへ納入、
7月に一度種子島を経由して国際宇宙ステーションに運ばれ、
10月5日、国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」から
宇宙へと放たれました。
そして様々なミッションを経たのち、
今年(2013年)の夏、7月4日の信号を最後に、流れ星になったのだそうです。
にわかの主なミッションは2つ。
1つは画像受信、従来の100倍サイズ(切手→ハガキくらい)の画像受信に成功されたそうです。
もう1つの副ミッションは人工衛星としてLEDを光らせ、その信号(モールスコード)で
夜空にメッセージを書く、というものだったそうです。何だかロマンチックですね。
年末には宮崎寓へ成功祈願に行かれた事、
「流れ星になるんだったら願い事を入れちゃおう!」という事で
秘密で願い事を書いた紙を入れられた事・・・
田中さんの衛星に込める想いが感じられるエピソードでした。
LED光発信においては、海外各地から写真や、動画までが集まったり、
(写真は破線状に光っていて、動画では点滅していました)
ブログを見てサポーターになってくれる方があったりと、
仲間に恵まれたミッションであったことも伝わってきました。
異国の仲間との「にわか」の帽子姿でのツーショットは印象的でした。
○そしてここから、生徒さん方で「子供の頃の夢」について、
食事をとりながらお話していきます。
空間いっぱいに、とーってもいいにおいが満ちていました。
スタッフはおあずけです(拷問)。
耳を傾けると親御さんのことや小学校のときのこと、
タイムカプセル・・・などと、記憶を呼び覚ますような言葉が
ちらほら出ていました。
○それから大西さんのお話に入っていきます。
大西さんの宇宙への興味のはじまりは
「宇宙のひみつ」という本からだったそうで、
最初に惹かれたのはブラックホールだったそうです。
それから中学~高校にかけて、映画「アルマゲドン」などでも
宇宙飛行士よりも機械に意識が向かうようになり、
大学からは人工衛星を開発する工学部に所属されていたそうです。
「宇宙兄弟」にも出てきた「缶サット(=空き缶サイズの模擬人工衛星を打ち上げ、技術力、創造力を競う競技会)」
に関するエピソードも語ってくださいました!
そのほか、現在日本各地の大学で開発中の衛星「UNISEC-1」の種子島での
打ち上げでは、発射までの間にBBQをしたなど、思い出の写真もいくつかご紹介頂きました。
そして現在研究開発中の衛星は「QSAT-EOS」。
オーロラの観察なども目的とされているそうで、
15年に及ぶ九州の技術の結晶とも言える衛星が、
来年の2月に、ロシアからの打ち上げを控えているのだそうです。
ロシアへの訪問では、日本以上に高齢化した開発者の方々と
現地特有の挨拶方法(ウォッカで一気!)で呑み交わしたそうです。
○なぜ衛星を作っているのか?それと、これからの話
・九州から小型人工衛星ビジネスを
・九州に宇宙産業の雇用を
・日本の宇宙開発の最前線へ
・そして実際に宇宙へ
大西さんのお話を聞いていると、
とても彼方に感じていた宇宙が、意外と近くにあるような気がしました。
さてここからは生徒さん方で、
何かに打ち込んだエピソードをグループ内で共有していきます。
各グループで、スポーツやアウトドアについて、他にも
話題が飛び交う中、ときおり拍手が起こったりして、
穏やかに場が盛り上がっていました。
その後はまた、ドリンクやデザートを頂きながら自分の好きなこと、
「ことば」でも「場所」でも、とにかく書き出していきます。
黙々と書いているテーブルもあれば、
グループでいっせーの、で見せ合ったり。
これらを原動力として、今何が出来るか。
それぞれ皆さんで掘り下げていきます。
そして、もうすっかり外の日も沈んだ頃、
今度は田中さんと大西さんに質問に答えて頂きました。
Q.一般では定年を迎えられる田中さん、今後は何をやりたいですか?
A.つぎは「はごろも衛星」。「にわか衛星」が最後に流れ星になったように、
今度は天女の衣のように、最後フワフワと宇宙空間を舞って、流れ星になるような衛星を作りたい。
Q.大西さんに質問。宇宙産業は、40~50代の働き盛りがいないという話が出ていましたが、どう思いますか?
A.大学が特殊なのかもしれません。しかし世代が離れていると、
孫のように可愛がってもらえる。これから世代も拡げていきたい。
そして最後、先生のお二人から夢に向けてのメッセージを頂きました。
田中さん「夢を持つこと。夢を持ち続けていれば、必要な情報を得られたり、
チャンスがわかる。チャンスが来た事に気づけます。」
大西さん「夢や目標を、恥ずかしがらずに口に出すこと。
目標を言ってみてから動いていくと、夢に近づける。」
会場の都合もあり、授業終了後に皆さん外へ。
帰り際空を見上げて、皆さんの心の中に残った想い、または
沸き上がった願いは、どんなものだったのでしょうか。
当日ご参加頂きました皆さん、ご協力頂きました皆さん、
ありがとうございました。
(ボランティアスタッフ 立石 依里)
【今回の授業コーディネーター】
【今回の先生】
【今回の教室】
住所 : 福岡市西区今津4754-1