レポート日記
一覧に戻る[博多まちづくりラボ] やりたいことをまちで実現させている実践者に聞く「まちづくりの仕掛け方」 第2部
開催日:2014年01月17日
博多まちづくりラボ
【特別授業】 博多まちづくりラボ
博多駅地区のにぎわい創出・回遊性向上にむけたまちづくり実践を行う「博多まちづくり推進協議会」と協力し、地域資源である空きテナントを活用したまちづくり手法を学び、実践する特別授業です。本企画ではまちの産業やコミュニティ再生にもつながる建物のリノベーションを通じたまちづくりや実際にテナント入居して活動をしている実践者から実例について学び、現実の低・未利用不動産を対象にしたテナント活用プランを作成します。まちを使ってアイデアを実現させたい方、まちづくりやリノベーションに関心のある方にご参加いただきたい企画です。
博多まちづくりラボ : http://www.hakata-machilabo.com/
博多まちづくりラボ 第二部では、実際に空きテナントに入居し、やりたいことを実現しているまちの実践者から学びます。
NPO法人ドルネモ 代表理事 山内泰さんのコーディネートのもと、古本屋を開業した白石隆義さん、ネコシェアハウス管理人の江頭聖子さん、ミュージシャンやアーティスト向けの賃貸住宅をプロデュースする貞國秀幸さんをパネラーに迎え、お話を伺いました。
◆ 僕にもできる古本屋の始め方 (白石さんより)
昔から本が好きで、本に囲まれて暮らしたい・・・
古本屋って楽でお金が稼げそうだし、老後の趣味として、いつか古本屋をやりたい・・・
そんな夢を持たれていた白石さんが、今年『旅と古本の店 ひとつ星』をオープンされました。お店には、白石さんが選ばれた古本の他に、雑貨も置いてあるそうです。本来はWEB制作の仕事をされているため、週末のみの開店。思っていたほど古本屋は楽じゃないと、オープン準備の段階で気づかれたそうです(笑)
オープンのきっかけとなったのは、白石さんが勤め先の会社の社長に夢を語ったこと。話を聞いた社長が『場所を提供するのでやってみてはどうか?』と提案してくださったそうです。
白石さんが古本屋を始められた理由、それは、『自分がやりたいことを周りの人に伝えたこと』『一歩踏み出したことで周りと繋がっていったこと』であるとおっしゃっていました。夢ややりたいことって自分の中に隠しがちですが、その熱い思いを言葉にして発信することが、夢をかなえる第一歩なのかもしれません。
◆ ネコと暮らせるシェアハウス (江頭さんより)
ペットと暮らせる物件。最近では増えてきているように感じていましたが、イヌがほとんどで、ネコが飼える物件は少ないそうです。そこで、江頭さんが運営されているのがネコと暮らせるシェアハウス。部屋だけではなく、ネコもシェアして飼うことができます。
ネコをシェアして飼うメリットは、忙しい時や旅行などで長期間家を空ける場 合にも他の誰かが面倒を見てくれるので、ネコに寂しい思いをさせないで済むこと。また、シェアハウスでは毎月オープンハウスが開催されており、入居者の誕生日を祝う等々、他人でありながら家族みたいな感じが味わえるそうです。
そんなシェアハウスをどうやって実現したのか?
そのきっかけは、ある方から『事業計画書を作ってきて』と言われたことでした。何をどうするか、採算は取れるか等々細かく書き出すことで、それまで漠然としていたことが具体的になっていったそうです。また、『やりたいことを発信し続ける』『目的を明確にする』『完璧主義にならずとりあえずやってみる』こともやりたいことを実現するためのポイントだったとおっしゃっていました。
◆ 空きスペースをプロデュースする方法 (貞國さんより)
北九州の市場で育った貞國さん。北九州から福岡に出てきた際、アパートに住む隣の人を知らない状況をおかしいと思われたそうです。
そんな貞國さんがプロデュースする物件が井尻にある『KICHI』。ミュージシャンやアーティスト向けの賃貸マンションです。賃貸マンションって、それこそ隣に住む人の顔もわからないことが多いですよね。そんな中、『KICHI』では、ビル一棟でアートイベントを行ったり、地域の人を集めてフリーマーケットを行ったりと様々なイベントが行われています。今や『KICHI』が井尻の街に影響を与えているのです。
また、『中洲の街が変わっていくための第一歩を仕掛けたい』という思いから、中洲の元ストリップ劇場を活用したアートイベントや乱歩ナイトといったイベントも企画されたとのことでした。
貞國さんにとっての空きスペースのプロデュースとは、入居者、そこを訪れるお客さま、地域の人すべてを楽しませる場を提案すること。これからの時代は、今までにないものを作っていく時代という言葉が印象的でした。
◆ まとめ (山内さんより)
3人の話を聞いて共通するのは、もともとやりたいことがあって、それをやっていく中で色々な人が繋がっていったこと。それは、入居者同士の繋がりであったり、地域の繋がりであったり・・・
今後は人口のバランスが崩れ、あたり前の事があたり前ではなくなる時代。高齢者が自分の家族に面倒を見てもらうことも難しくなり、『他人家族』が求められるようになる。他人との適度な距離感、シェアをしていくやり方が大事になっていくのではないでしょうか。
最後に、3人の方々に今後の展望を語って頂きました。
白石さん:
福岡を古本の街にして街をブランディングすること。古本を通じて人が繋がっていくこと。
江頭さん:
シェアハウスを増やしていきたい。と言っても、一緒に住むことばかりが良いことばかりではないと思うので、近くに住んで適度な距離感で助け合える、ニアハウスを提案していきたい。
貞國さん:
音楽家、建築家みたいに『不動産家』を増やして街をハッピーにしていきたい。
やりたいことを実現したいという思いが人を繋ぎ、それが形になると人が集まり、また繋がっていく。それが繰り返されることで街も元気を取り戻していくのかもしれません。夢を実現したい、博多の街を元気にしたいと思っているみなさん、まずは思いを言葉にして一歩踏み出してみましょう!
(ボランティアスタッフ 田中 千代美)
【今回の授業コーディネーター】
江頭 聖子
【今回の先生】
嶋田 洋平 (株式会社らいおん建築事務所代表取締役/株式会社北九州家守舎代表取締役)
【今回の教室】
住所 : 福岡市博多区博多駅前3-18-8