レポート日記
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開催日:2010年11月27日
通常授業
【今回の先生】 和栗 百恵 (福岡女子大学大学改革推進室准教授)
【今回の教室】 チャイルドキッチン
福岡テンジン大学。
テンジンと言っても、今回は天神の街から少し離れた
博多区山王にあるチャイルドキッチンが授業の舞台です。
チャイルドキッチンとは今や世界中に店舗を構える福岡を代表するラーメン店「一風堂」がプロデュースする、子供と大人で体験できる料理教室。白を基調とした雰囲気で、清潔感たっぷりの教室をお借りしての授業、もちろん参加者はテンジン大学の学生なので、今回は「アダルトキッチン」と化していましたが(笑)
そして今回の授業、福岡テンジン大学開校以来の長時間授業。14:00~18:00までの4時間にも及ぶロングタイムな授業となりました。しかし、参加した人みんなが思っているはず。あっという間の4時間だったと・・・
人生を創るのは体験だ! ~小さな繋がりを育てよう~
と題して開催された授業は、大きく分けると2部構成で、まずはこの授業の講師・和栗百恵先生と岩永学長の対談形式による授業、そして後半はチャイルドキッチンのスタッフさん指導の元、一風堂のラーメン作り体験の授業となりました。
それでは今回の授業についてもう少し詳しくレポートしていきます。
13:30 受付開始です。
1階の入口前でお出迎え。
さすがは1階に一風堂さんがあるため、学生以外にもたくさんのお客様が来店されます。しかし、テンジン大学の学生さんはすぐにわかりました。授業開始までにほとんどの参加者が揃い、スムーズに開始できたのではないでしょうか。
チャイルドキッチン、テンジン大学の両スタッフも着席し、教室前方には和栗先生と岩永学長。まるで本当の教室みたいです。小学校の頃の家庭科室や理科室みたいな感じ。グループごとに1つのキッチンを囲んで座っています。
各自目の前には紙とペン。
学長から「今日の授業になぜ参加したのか?3つ挙げて書いてみましょう」との声で授業がスタートしました。その後、書いた紙を持ち、学生同士で各々の参加理由を話し合います。それを5人と繰り返します。初めは皆ぎこちない雰囲気でしたが、2人目、3人目と繰り返すにつれ、場の空気に息が吹き込まれ、教室内が明るい雰囲気になりました。
私も5人の学生と言葉を交わしましたが、参加理由は人それぞれ。
・普段の仕事ではできないようなことがしたいから
・初めて会う人とたくさん話したいから
・ラーメン作りをしてみたかったから
・一風堂の活動が気になっているから
・前回のテンジン大学の授業が良かったから
などいろんな考えがありました。
いよいよ和栗先生の授業へ入っていきます。学長がまず、この授業を通して次の3つを学んで帰ってほしいと最初におっしゃいました。
1.新しいことへチャレンジする一歩
2.最初の一歩が次の一歩を生む
3.一歩、一歩の振り返りをすること
初めの2つは、よくわかります。しかし3つめの振り返りという言葉に少し疑問を感じました。振り返り???
和栗先生は福岡女子大学大学推進会議室の准教授で、机上の講義だけでなく、体験を通すことで学生たちの心と体を精錬する授業をやっておられます。それら大学での授業内容や自らの体験談などを交えた内容で、私たちテンジン大学の学生に体験することの大切さを教えていただきました。
和栗先生は過去に大阪大学、早稲田大学で教鞭を執られており、今回の授業では、早稲田大学の学生が実施した「ボルネオプロジェクト」について写真やDVDの映像を使ってのお話でした。
ボルネオ島は東南アジアの島でインドネシア、マレーシア、ブルネイの三カ国が領有しています。そのマレーシア領コタキナバルには約4,000人ものフィリピン移民が水上集落で生活をしています。そのボルネオ島コタキナバルに学生自身が出向き、そこで起きている問題を解決しようと言う試みがボルネオプロジェクトだそうです。
早稲田の学生はまず、そこで暮らす貧しい子供たちを助けたいという思いを持って島へ渡ります。実際、そこで待っていたのは子供たちの笑顔。毎日を楽しく過ごしていたのです。
しかし、村を巡ると別の問題が立ちはだかるのでした。
水辺に浮かぶ、大量のゴミ。ありとあらゆるゴミが水上にあふれていたのです。ゴミを放置しておくと、マラリアやコレラなどの感染症の問題が発生します。
そこで学生たちは、このゴミをいかにして撤去するかと言う課題に立ち向かうのでした。
学生同士の意見の対立、村人との意志の疎通等、ゴミ問題以外にもたくさんの課題があり、毎日のミーティングで振り返り、解決策を見出していきます。
そしてついにゴミの回収を村人たち全員で行う日がやってきました。村人は笑顔でゴミの清掃を行い、最後に村人は学生に対して言ったそうです。
「あなたたちは喜びの波紋を広げていってくれる小さな石だ」
学生一人一人の気持ちが村全体に広がり、村人の気持ちを動かし、村を綺麗にした活動はテンジン大学の学生も感極まり、涙する人もいました。
学生はボルネオでの体験を通して、村人のために何かをやることだけではなく、村人からたくさんのことを学んだそうです。あれもこれも欲しいではなく、これで十分と言う気持ち、当たり前だと思っていたことへの感謝の気持ち、人としてどうあるべきか・・・
ただ、体験するだけではその場で終わり。体験し、
どうだったか(What)
だから何なのか(So What)
ではどうするのか(Now What)
と振り返ることで人間として成長していくのだと教えていただきました。
と、私も食い入るように授業に集中していました。毎日慌ただしく時間が過ぎている昨今、なかなか振り返る機会がありません。日記やBlog、Twitterなど、過去を振り返るツールはたくさんあります。少しでも振り返る時間を作り、人間として成長していきたいと感じました。
その授業内容を踏まえた上で、2つのワークショップを行いました。3人1組になり「過去1週間の中、自分にとって最も意味のあったことは何か?」、「それをやるにはどんなSTEPが必要か?」について意見交換をします。私自身、過去1週間でとても意味のあった出来事があったので再びそれについて振り返ることができました。
ここで前半の授業が終了です。
和栗先生、本当にありがとうございました。
そして和栗先生からチャイルドキッチンの江原さんへ講師のバトンタッチ。和栗先生と岩永学長も一緒にラーメン作り体験です。福岡テンジン大学の学生は素晴らしいですね!忘れ物ゼロ。持参必須だったエプロンを全員が持ってきています。エプロンを装着し準備完了。
もちろん麺から作ります。福岡のラーメンのために開発された小麦、その名も「ラー麦」です。知っていましたか?福岡は小麦の生産量全国第2位なんですよ。
では1位と3位はどこの都道府県でしょう?
とクイズ形式で後半の授業がスタートしました。
2人1組になり麺をコネコネ・・・
かなり力がいります。
固まってきたらしっかりコシを出すためにフミフミ・・・
これがまたコツをつかむまで難しい。
最後に薄ぅ~く延ばして、出来上がり!早く茹でて食べたい。
でも、麺茹で機の数は限られています。各グループの代表者でジャンケン大会。勝ったグループからは歓声が。負けたグループはがっくり。そしてこれが自分たちで作った麺で仕上げたラーメンです。
スープはもちろん一風堂のものですので抜群にうまい。チャーシューとネギ、紅ショウガを乗せて。モチモチ、シコシコの麺ですぐに完食しちゃいました。
最後はみんなで食器洗い、片付けをします。慣れた手つきの人も、そうでない人もみんなで力を合わせればすぐに終わります。あっという間に授業開始前の白い教室元通り。気づけば陽も暮れて授業終了の時刻になっていました。
体験することの大切さ、一歩を踏み出す勇気、振り返ることの重要性。
学べましたか。
和栗先生、チャイルドキッチンの皆さん、そしてそしてテンジン大学の皆さん
感謝、感謝です。
ありがとうございました。
(ボランティアスタッフ 江口智裕)