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レポート日記

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博多織七百年の歴史から魅る、博多のまち ~「博多ば」まち歩き VOL.1~

開催日:2014年03月30日

コラボレーション授業

【特別授業】 博多ば

「博多ば」プロジェクトは、博多リバレイン15周年事業として、参加型屋外バナー広告の掲出、定期的な市(マーケット)の開催、広報誌の発行、まち歩きイベントの開催などを通じて、博多リバレイン周辺一帯を新たな賑わいの「場」として活性化していく活動です。年間を通じていろいろな催しが行われますので、ぜひご参加ください。

 

 

今回の授業は、「博多ば」プロジェクトの一環として、リバカル協賛の元“学び”を通じて博多のまちをもっと知ってもらおう、興味を持ってもらおうと企画しました。

 

 

“博多”という名の付く名物がいくつかある中で、第一弾のテーマに選んだのは“博多織”。

福岡の伝統工芸品で、国の無形文化財にも指定されているにも関わらず、福岡の人に案外知られていないのが現状の中、博多織マイスター?という程、博多織について色々教えてくださる『博多織の千年工房』(博多リバレインB1F)の店長 白石さんを先生にお迎えし授業スタート。

 

 

 

 

『千年工房』さんは創業 明治30年、今年で117年目になる博多織元さんで、千年続けて行こうと『千年工房』と名付けられたそうです。店長オリジナルの素敵な着物をさらっと着こなし、博多織の魅力や特長について熱く語っていただきました。実は店長、博多織メーカーの家業を手伝う前はフランス料理の料理人をされてたとか。

 

 

博多織を代表する献上柄は独鈷(どっこ)と華皿(はなざら)をあしらった模様で、元は仏具なんだそうです。福岡市地下鉄博多駅のシンボルマークにもなっていますね。

 

 

★博多織の特徴って何だかご存知ですか?

 

多くの経糸(たていと)で柄を出すのが一番の特徴だそうです。

そのため生地に厚みがあり、帯を結ぶ時博多織独自の「絹鳴り」がします。

京都の西陣織と比べても2~4倍ものタテ糸を使って構成される為、帯は締めても緩みにくく、シワも手で伸ばすだけで伸びるとあって武士も愛用していた程。

 

 

また、出来上がりまでの26もの行程を、分業生産せず全て一貫生産するのも特徴で、一つの作品に意匠(デザイン)→仕掛け→染め(外注)→糸繰・整経→製織→仕上げ→検品とそれぞれの職人さんが携わる為、気持ちのこもった製品ができるんだそうです。

 

 

今日は店長自ら、博多織の着物のコーディネート実演をしていただくために、モデルの2名を選びます。

中には素敵な着物でご参加いただいた生徒さんもいたり、博多織や着物に関心の高い方々が多く見受けられる中、女性2名がモデルにチャレンジしてくれる事になりました。

 

 

店長がコーディネートを考えてくださる間、私達は歩いて5分程の「博多町家」ふるさと館に移動です。

ここでは実際に博多織の製織過程を観る事が出来ます。

 

 

 

 

「博多織の柄ってですね、献上柄といって受け継がれているものと、織手が自由に柄を決めて織るものがあるんです。」と、説明してくれたのは織手の田代さん。

 

 

機を織る時の「ガチャガチャッチャッチャッ…」って音が心地よく響き、普段見慣れない光景に生徒さん達も静かに見入ってらっしゃいました。

 

 

 

 

機織機は元々フランスで150年前にジャガード織を作る為に開発され、日本には明治時代(およそ130年前)に入ってきたと言われております。博多織の機は大島紬の機に比べて特別大きいのも特徴だそうです。

 

 

「博多町家」ふるさと館とは、もともと博多織織元の住居兼工場として建てられた町家を移築復元したもので、福岡市の指定文化財になっています。

裕福に見えない様に入口は狭く、中は広く贅沢な作りになっているのが博多町家の特徴だそうで、中庭があったり大黒柱に立派な桜の木が使われていたりと、当時の裕福な暮らしを垣間見る事ができました。

 

 

再び『千年工房』さんに戻って、お楽しみのコーディネートのお披露目です。

一人目のモデルさんにはベージュを基調とした着物に献上柄をあしらったピンクの帯。

 

 

 

 

 

一枚の反物で、まるで着物を着ているかの様に見せる所がさすがです。帯を紺色に変えるだけでグッと粋な感じになりました。帯に合わせて小物も替えるとまたイメージが変わるので、色々な楽しみ方ができますね。

 

 

2人目のモデルさんにはとっても色鮮やかな江戸小紋の着物にチャレンジしていただきました。

 

 

先程と同じピンクの帯でやわらかいイメージを醸し出し、続いて合わせた日光東照宮柄の帯は豪華絢爛で、一気に大人のイメージに様変わり。着物よりも帯と小物にお金をかけた方がいいと言われるのも納得です。

 

 

 

 

 

博多織の由来や特徴・知識を学び、目の前で織られている現場を見て触って実際に合わせてみるという、とても贅沢な体験となりました。

 

 

作品の随所に職人さんの技やこだわりが感じられ、博多織を生み出した博多に住んでいる事がとても誇らしく感じられました。

博多織の業者さんは現在44件ですが、職人さんの高齢化にともない、後継者問題も発生しています。

「博多織は博多以外で作られているものはない。」博多に住む私たちが守るべき財産ですので、これを機会にもっと触れて支えていければと思います。

 

 

 

 

今回お邪魔した『千年工房』さんも「博多町家」ふるさと館さんも、気軽に立ち寄っていただける場所ですので、興味があれば是非足を運んでみてください。

 

 

(ボランティアスタッフ 兼山 孝子)

 

 


 

 

【今回の授業コーディネーター】

松下 由香

 

 


 

 

【今回の先生】

白石 賢二郎 (博多織の千年工房店長)

 

 


 

 

【今回の教室】

博多織の千年工房

住所 : 福岡市博多区下川端町3-1 博多リバレイン・イニミニマニモB1F