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レポート日記

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[ものづくりシリーズ]モノとストーリー~生産者が見えるモノづくりとは?~

開催日:2014年07月26日

通常授業

あなたの大切なモノは何ですか?

どこでどういう人がそれを作ったか知っていますか?

そこにどういう想いやストーリーがあるか考えたことはありますか?

 

今回の授業は、ストーリーが込められたモノづくりを途上国から世界に向けて行うブランド「マザーハウス」の福岡店店長の加生雄介さんに、ストーリーあるモノづくりについて話を聞きます。

 

 

本題の前の準備体操として、参加者のみなさんには自分が大切にしているモノを持って来てもらったので、そのことについてグループで話をしてもらいました。絵の具セット、カメラ、バドミントンのラケット、などそれぞれの思い出がつまったモノが出てきました。

 

そこでは、モノを買ったあとの持ち主のストーリーが中心に聞こえてきました。

一方で、モノがつくられる背景にもストーリーがあります。マザーハウスでは、販売員のことをストーリーテラーと呼んでいます。バックを販売するだけでなく、バックができるまでのストーリーも一緒にお客様と共有しています。

 

 

そのストーリーテラーの仲間に加わり、2014年2月から福岡店店長を務める加生先生は、大学時代に「労働者のモチベーション」というテーマでマザーハウスの研究をしていて、他にもいくつかきっかけがあってマザーハウスに入られたそうです。

 

マザーハウスが生まれたストーリーとしては、代表の山口絵理子さんのエピソードが有名ですが、貧しい国々のために何かをしたいと思いアジア最貧国であるバングラデシュを訪れたことがその始まりです。

「途上国から世界に通用するブランドをつくる。」というミッションには、途上国という一括りにされた場所にも素晴らしい資源と可能性があることを伝えたいというメッセージが込められています。そしてそのストーリーに多くの共感が集まっています。

 

 

では、なぜモノづくりにストーリーが求められているのでしょうか?

先進国に住む私たちは、大量生産大量消費社会の中でモノがあふれています。

壊れたら買い替える、飽きたら新しいモノを買う、そういう代替可能なモノに囲まれる暮らしは無機質で味気ないでしょう。

 

でも、同じモノでも作られた背景に目を向けてみるとそこには色々なストーリーがあります。想いを込めて作ってくれた人と、想いを持ってそれを買ってくれる人がいたらそれはとても心豊かな買い物というコミュニケーションだと思います。

 

加生先生は、バングラデシュの生産工場の様子やその工場へのツアーのこと、マザーハウス自身のストーリー、モノづくりに対する哲学などの話をしてくれました。

 

 

授業の中で、バッグになる前の皮をなめした状態のものを見せてもらいました。普段は完成品しかほとんど見ることがないので新鮮な体験でした。

今回の授業タイトルに、生産者の顔が見えるモノづくりとありますが、マザーハウスは商品がつくられるプロセスをオープンにすることでストーリーを伝えています。特にどういう人がつくっているかに関しては、途上国の生産工場のスタッフのことがWEBサイトやメディアでも紹介されていますし、現地の工場を訪れるツアーも開催しています。

 

 

先生の話を聞いて、今後どのようなモノの買い方をしていきたいかをグループで話し合ってもらいました。参加者の中には大量消費スタイルに違和感を持たれてるという方もいて、それぞれが買い物の基準を改めて考えられてたようでした。

 

 

今日は、私たちが何気なく使っているモノがつくられている裏側にはたくさんの人が関わっていて、そこにはその人たちの想いやストーリーがつまっていて、そしてその人たちと私たちは買い物を通して人生がつながっている、そういうことが共有された授業になりました。

 

 

最後は教室を飛び出して、マザーハウス福岡店へ!

リアルに商品を手に取りながら、お店の方や参加者同士で活発に話をされている姿がとても印象的でした。

 

今回の授業に参加された方は、これから買い物をする時に手に取ったモノの背景をきっと考えると思います。ありふれたモノのすべてに魅力的なストーリーは存在しないかもしれません。でも、だからこそマザーハウスのように素敵なストーリーあるモノに出会えたら幸せですし、それを見つけることは宝物を探すことのように楽しいでしょう。

 

 

(ボランティアスタッフ 下野 弘樹)

 

 


 

【今回の授業のコーディネーター】 吉田 篤史

 

  1988年福岡市出身。生まれつき気道が成形されない「先天性喉頭閉鎖症」で、医者には一生病院を出られるかどうかわからない、と言われていた。2歳で退院し、以後は表情やジェスチャーでコミュニケーションを覚え、小学校・中学校・高校・専門学校と普通に通い、現在は民間企業で事務をしている。ボランティアに興味があり、グリーンバード福岡に参加したのをキッカケに、抜群のコミュニケーション能力と、2011年に購入したiPadをもとにネットワークを拡大、今では福岡テンジン大学で授業コーディネーターを務め、自らの無声コミュニケーションの可能性を広げている。

 

 


 

【今回の先生】 加生 雄介 マザーハウス福岡店 店長

 

  1988年福岡県田川市出身。中学から高校までの6年間を福岡市で過ごし、大学から東京へ。大学卒業後、大手IT企業に就職し、マーケティング業務や営業活動に従事するも、「最終消費者の顔が見える仕事をしたい」「生産者、売り手、お客様の循環が目に見える仕事がしたい」という思いをもつ。マザーハウスの理念である「途上国から世界に通用するブランドをつくる」に感銘を受け、マザーハウスへの入社を決意。横浜ベイクォーター店での勤務を経て、2014年2月から地元福岡店店長に就任。

 

 


 

【今回の教室】 赤煉瓦文化館

 

 

明治時代の我が国を代表する建築家・辰野金吾と片岡安の設計により、 日本生命保険株式会社九州支店として明治42年(1909)に竣工。 赤煉瓦と白い花崗岩の外壁は19世紀末のイギリス様式で、ほかに尖塔やドームなど、小規模ながら変化に富んでいる建物。福岡市歴史資料館として使用された後、有料の会議室等を備えた市民に開かれた施設「赤煉瓦文化館」としてオープン。平成14年(2002)からは1階の一部が「福岡市文学館」として使用され、 文学に関するさまざまな情報を収集・提供している。国の重要文化財。

住所 : 福岡市中央区天神1-15-30

 

※駐車場・駐輪場がありません。公共交通機関を利用するか、近くのパーキング・駐輪場をご利用ください。