フクオカテンジン大学

フクオカテンジン大学

企業・自治体の皆様 学生登録

レポート日記

一覧に戻る

お醤油的 ザ・県民ショー ~お醤油と日本人の関係性について~

開催日:2011年03月26日

通常授業

【今回の先生】 大浜 大地 (醤油ソムリエ)

 

【今回の教室】 天神中央公園 福岡テンジン大学特設ブース

 

 

今回の授業は初の青空授業!

寒かったけど空は晴れわたり、お醤油に興味津々の生徒さんが集まりました。

 

 

 

 

先生の大浜さんは全国に3人ほどしかいない“醤油ソムリエ”で “醤油テイスティングバー”のオーナーでいらっしゃいます。醤油ソムリエに醤油バー?聞き慣れない言葉ですが、醤油はワインのように・・いやおそらくそれ以上に奥深い物語が隠されていたのです。

 

 

■お醤油は、味より香り

皆さんは、どのような基準でお醤油を選んでいますか?

各地方やメーカーによって数えきれないほど多くの種類のある醤油ですが、「“味”よりも“香り”の違いで選んでください」と先生。ワインは70種類ほどの香り成分が入っているのに対して、醤油は300種類もの香り成分が確認されているのだそうです。香りは、大豆など素材の違いよりも、麹(こうじ)の違いで大きく変わるそうです。

 

今回は生徒の皆さんに3種類のお醤油の香りを比較してもらいました。

 

 

 

 

3種類とも全く違う香り!

福岡のお醤油は、甘い香りが強くしました。反対に和歌山のお醤油は少しトゲのある香りがしましたが、お刺身には・・焼魚には・・など料理に合わせて醤油も選んでいくと、より食事が充実したものになると感じました。

 

 

■お醤油貿易の歴史

16世紀、お醤油は出島からヨーロッパへ「コンプラ瓶(下写真参照)」と呼ばれる陶器に入れて輸出されていました。貴族や宮廷で流行し、ルイ14世はお醤油の瓶を捨てなかったとも言われています。フランス料理にも“味付け”ではなく“香りのスパイス”としてお醤油は使われていたそうです。

 

 

 

 

■九州のお醤油の違い

一般に本州のお醤油よりも九州のお醤油の方が甘いと言われていますが、なぜ甘いのでしょうか?

 

その理由の一つに、日本に砂糖が輸入された際、長崎~小倉がシュガーロードとして栄え、その高級品のお砂糖を使った甘いお醤油はおもてなしとして重宝されたそうです。

 

また、福岡県は醤油醸造元が全国一です。これは三河屋のような小さな店が多かったという背景から生まれたそうです。筑豊や北九州など鉱業地帯では力を使う仕事が多かったため塩分の摂取量を多く求められ、その結果塩分濃度の濃いお醤油を、また海で働く人は漁に出ると何日も帰れないこともあり船の上で栄養補給をするのは難しいため、お醤油の糖分も多くなるなど、地域や風土にそってお醤油の味も変わっていったようです。

 

 

■「九州醤油検定」に挑戦     

授業の内容をもとに参加者全員で「九州醤油検定」に挑戦しました。

 

 

 

 

 

<問題の一例>

Q 九州で一番甘いと云われるお醤油産地は?

Q どのように保存すれば香り持続しながら楽しめる?

 

 

「九州醤油検定」の結果は・・・

みごと全員合格でした!

 

そして、大浜先生から参加者全員に“スプレー醤油”のお土産を頂きました!「醤油は口に入る量よりも捨てられる量が多くもったいない」という発想から生まれたもので、必要な分だけの醤油をシュッと噴きつけ、香りも楽しむことができる画期的な商品です。

 

 

 

 

先生の醤油への愛が伝わってくる素敵な授業でした。

日本人の食生活に欠かせないお醤油。しかしながらその種類、歴史、文化の奥深さは計り知れないと感じました。生徒さんからは「もっと知りたいと思った」「醤油ソムリエになりたい」といった声が!

 

福岡県内各所の醸造元では「見学したい」と電話で伝えると、快諾してくださる所が多くあるそうです。また、福岡醤油会館(筑紫野市牛島)では10月に「醤油蔵開き」があるそうですよ。きっと新たな発見があると思います。

 

(ボランティアスタッフ 宮原佳子)