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レポート日記

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グルメの街から「食べる」を考える街へ ~いのちの大切さを知る/と殺ワークショップ~

開催日:2012年07月28日

通常授業

 

今日は鶏を〆るというショッキングで貴重な経験が出来る、ということで

と殺の授業に行って参ります!

自分の手で命を奪うのを想像すると、なんだか怖いです。

 

 

天神バスセンターから西鉄バスで約1時間、後藤寺バスセンターより車に分乗して安宅交流センターへ向かいます。

 

 

安宅交流センターは小学校を改装した宿泊・研修施設です。田んぼや畑に囲まれた景色、それに広い食堂は学生時代の部活の合宿所を思い出しました。

 

 

まずはChicken`s kitchenの志田さん、畠山さんによると殺ワークショップ。

小屋に数千羽の鶏が閉じ込められ、機械的にえさを与えられ、ベルトコンベアで卵が運ばれていく大量生産の現状を説明。

そして畠山さんが実際に鶏を〆て調理する様子がビデオで流されます。

 

 

 

 

次は汚れてもいい服装に着替えて片桐さんの畑へ。片桐さんは川崎町に移住されて合鴨農法をされている方です。鴨は稲に有害な虫を食べてくれる上に、糞はとても良い天然の肥料になります。今回は片桐さんが愛情を込めて育てた鴨を2羽、提供して頂きました。

 

 

ビニールハウスの中の区画に住んでいる鴨を追い込んで捕まえ、抱き上げます。

交流センターまでの道のり、2羽の鴨(カモ子と雅子と名づけました)をみんなで代わる代わる抱っこ。温かさと柔らかさ、それにかわいらしい顔で、カモ子と雅子はみんなの人気者に!私の抱っこの仕方が悪かったのか、少し暴れました。泥んこです。

 

 

 

 

いよいよ、と殺に入ります。

 

 

 

 

首をひねるor棒で頭を強く殴って気絶させ、意識がないうちに首を切断します。

死後硬直で暴れるのでビニール袋(大)に頭を下にして血を抜きます。

そうしたらお湯にまんべんなく付けて蒸らし、柔らかくなった毛をむしっていきます。

羽を取り細かい毛を焼いたら、みなさんがよく見る七面鳥の姿になります。

 

 

だんだん体温が失われ、ズーンと重みが増していくのをみんなの手で触れて、感じます。

思わず涙目になる学生さんも。切り落とした頭はみんなで埋葬しました。

 

 

後片付けをして調理室へ。羽根も乾かして洗ったら、素敵なアクセサリー(ピアスなど)の材料になります。

 

 

調理風景。料理人の志田先生の指導により手羽先を取り、内臓を取り出し、部位ごとに切り分けていきます。

 

 

 

 

 

肉の解体ってこんなに手間がかかるんですね!(汗)

でもみんなで分担してやったのでお昼過ぎには出来あがりました。

畠山先生からも「皆さんの協力のおかげで早く完成しました!」と

お褒めのコメントを頂きました。

 

 

お昼は鶏のダシを丸ごと活かしたスープ、片桐さんの栽培したおいしいお米、

それにナッツの炒め物。

川崎町の野菜にアジアンなスパイスが効いて食欲が湧きます。

労働の後の食事。今日の授業に来たきっかけなど会話も弾みます。

 

 

 

 

みんなでお皿と食堂の後片付けをして、ひと休みしてから、

午後のワールドカフェの時間です。

 

 

今日の授業を通じての気づきを4,5人一グループで輪になって

模造紙を囲み気付いたことをペンで書き込み、意見を出し合っていきます。

 

 

 

 

グループを替えて熱い討論を4回繰り返し、発表の時間。

どのタイミングで『鶏』から『鶏肉』に変わりましたか?という問いに対しては

 

・鶏→死骸→鶏肉の3段階あった、という意見や

・鶏(生き物)から羽をむしった時に鶏肉になった、という意見、

・部位ごとに切り分けた段階で、いつも見ている鶏肉の形になった、という意見もありました。

 

その他

・大量に作り過ぎてから余裕が出来た結果、大量の食べ残しが廃棄される社会になった

・効率化を追求した結果、食べ物が安く大量に手に入るようになった。

 しかし手間を掛けて作った健康に良い食べ物を意識して買い、生産者を支えていくことも大事ではないか。

 

・田舎の子どもは幼いころから動物の死を身近に感じている、という意見や

・人間だけ食物連鎖の輪から外れている事に気がついた、など様々な意見が出ました。

 

 

個人的にも、改めて「食べる」ということがどういった繋がりからできているだろうか、

大量生産・大量消費ってどういうことなんだろうということを考えるきっかけになりました。

 

 

参加者にとっては、この経験がどんなきっかけになったんだろう。

肉を食べないというわけでもなく、食生活をいきなり変えるというわけでもなく

でも、どこかで「食品」を手に取る時に考えるようになったのかなと想像します。

 

 

命をいただくということを、みんながもっと考えられる世の中になることが

みんなの心を豊かにする1つのきっかけになるのかもと感じました。

 

 

名残を惜しみつつ川崎町を離れましたが、今日一日でたくさんの発見があったようです。

帰りのバスの中でも話は尽きませんでした。

鶏さん、生産者の方々、参加して下さった皆さんに感謝!

 

 

 

 

(ボランティアスタッフ 村井 泰)

 

 


 

 

【今回の先生】

畠山 千春 (Chicken`s kitchen)

 

 

志田 浩一 (Chicken`s kitchen)

 

 


 

 

【今回の教室】

安宅交流センター

住所 : 福岡県田川郡川崎町大字安眞木1374